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【第2章 本気で挑むということ】「想いよ、届け」 〜180日で身につけた諦めない力〜

「移籍者たちの挑戦」シリーズでは、大企業で働く社員が、「レンタル移籍」を通じて、ベンチャー企業で学び、奮闘し、そして挑戦した日々の出来事をストーリーでお届けします。

 今回の主人公は、日本郵便株式会社から、紙やプラスチックに替わる石灰石で作る新素材LIMEX(ライメックス)を製造・販売している株式会社TBMに移籍した武澤歩沙美さん。武澤さんは2018年4月から移籍を開始し、6ヶ月間の移籍を終えて、2018年10月に帰って来ました。そんな武澤さんのストーリーを全4回でお届けしていきます。

<過去記事>
第1章 この人たちと一緒に働きたい!

—高まるモチベーション

2018年4月1日。
いよいよ半年間の移籍がスタートした。

移籍初日、武澤の他に新入社員が3名いた。
武澤は彼らと一緒に新入社員研修を受けることになる。

会社の経営方針や事業説明、商品の知識、労務関係などを丁寧に教えてくれた。

「ちゃんとしてるなぁ……」
武澤が想像していたベンチャー企業は、もっと放任なイメージだったため、しっかりとした研修に驚いた。
この時すでに、TBMに魅了されていた武澤は、会社の成り立ちなどを聞き、さらに応援したい気持ちになった。

また、CEOの山﨑の講話で「LIMEXの工場がはじめてできた時には感動した。工場のネジ1本1本が愛おしいと感じた」という、この事業やTBMメンバーにかける熱い想いに感銘を受け、自分もここで役に立ちたい! と改めて気合いが入った。

TBMでの武澤のミッションは明確だった。
(TBMで)繋がりがある神奈川県、横浜市、福井県鯖江市とLIMEXを活用した企画の検討・実施、それから、郵便局チャネルを活用したLIMEX製品の販路拡大のための企画の検討・実施である。

そもそも武澤はこの移籍を通じて、企画力と、企画を通すための提案力・営業力を身につけて戻りたいと思っていた。受け身ではなく、自ら企画を提案できるようになりたいと思っていたからだ。だから、このミッションをクリアすることで成長できると確信した。

—もっと役に立てると思っていた……

移籍前は、自分が力をつけるだけでなく、TBMに対して自分が役に立てることもある、そう思っていた。
社会人になって6年目、日本郵便で様々な経験をしてきた。
何でもチャレンジするタフな精神も持っている。
貢献できることはいろいろあるだろう、と考えていた。

しかし、移籍2日目にしてあっけなく自信喪失することになる。
というのも、同日に中途で入社した同世代の男性社員が、入社してさっそくアポイントを取るなど具体的に動き出し、そのスピード感に圧倒された。

武澤はまだLIMEXの勉強をしている状況。移籍して1週間経っても、まだインプットばかりで、役に立てていない自分に焦りを感じる……。

とにかくLIMEXの知識をしっかり身につけて、早く提案できるようになろうと必死だった。

TBMにて撮影した武澤の写真。採用サイトに社員記事をのせるため、撮影したもの

—アイデアが認められた!

それからしばらくは、自治体連携に向けて(どうやって提案をしたら良いかの糸口を掴むために)各地域の動向や、環境に配慮した取組みなどを徹底的に調査した。

また社員の商談に同席するなどして、提案の仕方、商談先の需要、課題などをひたすらインプットした。

そして、執行役員兼CMOであり 武澤の移籍部門の本部長でもある笹木にフォローしてもらいながらではあるが、自治体との連携に向けた企画化や、日本郵便と連携するための提案書の作成などを少しずつ始めていた。

そんな中、TBMが「ガイアの夜明け(テレビ東京)」で取り上げられることが決まり、社内は湧き立っていた。武澤のいる部門は広報業務を担っていることもあり、この機会を最大化するための企画を行うことになった。

例えばそれは、取引先や学生を招待した交流イベントの開催など、番組の反響を広げるために、応援してくれる人をどんどん巻き込み、拡散を狙うという施策である。

まずはアイデア出し。
移籍部門のメンバーを中心に「できる・できない」の先入観をなくし、とにかくやったらいいと思うことを話し合った。ざっくばらんな提案の場では、否定的な言葉はなく、基本的にはどれも前向きに検討してもらえた。

武澤は、アイデアに対し前向きな意見をもらったことが心から嬉しかった。そして「認められた」という安心感から、企画づくりのハードルも下がったように感じた。

—致命的なこと以外は、極力こだわらない

5月に入り、自身のミッションである地域連携、日本郵便との連携に加え、テレビ放送に向けた施策の実施など、複数の案件を抱え、忙しい日々を送っていた。

それでも、苦しいとか辛いということはなく、むしろ仕事が楽しくて仕方なかった。ひとりでできることが少しずつ増え、施策を実行する満足感もあり、とにかく充実していた。

しかしタスクは日に日に増えていくばかり。
さらに、即日対応しなければいけないなどスピードが求められる案件も多い。

何でもきっちり丁寧にやりたいタイプの武澤は、自身の業務の遅さを痛感した。

「このままでは期限内にやり遂げられない……」
本当は自分が納得いくまで拘りたいのだが、今までのスピード感でやっていてはとても間に合わない。「致命的となること以外は、極力こだわらない」という判断基準を教えてもらいながら、“割り切って進める”ということを生まれて初めて経験した。

—メールは必要以上に丁寧にしないこと

また、TBMでは「メールを24時間以内に返す」という習慣があった。

武澤は今まで、かなり丁寧にメール対応をしていた。
言葉選びから、(ちゃんと伝わるような)文章の構成、そして文字校正など、ひとつのメールにかなり時間をかけていたと思う。

しかし、ここではそんなことをしていたらとても終わらない。
「社内でのメールは、必要以上に丁寧にしない」ということを心がけた。
少し言い方がカジュアルすぎるかも……と最初は心配になることもあったが、とにかく早く返信することを最優先にした。

そしたら、相手もカジュアルなメールを送ってくるようになった。
おかげで、1回のメールに余計な気を使わなくなり、スムーズにやり取りができるようになった。

また、「自分が丁寧に送りすぎるから相手も丁寧になっちゃうんだ」ということに気づき、「メールは丁寧に送るもの」という固定概念が外れて、楽になった。

こうしたスピード重視の業務改善により、武澤は、少しずつ時間に余裕が持てるようになっていた。

そして、気づけば5月も終わろうとしている———。
5月初旬放送の「ガイアの夜明け」がついに情報解禁となり、番組を見てもらうための周知を徹底して行うことになる。SNS、メール、手紙などありとあらゆる手段を使った。

その甲斐あって、放送後はお問い合わせやネットでの反響も大きく、良い結果が出せたと思う。

—「はじめて嬉しくて泣いた」日本郵便での提案

6月に入り、武澤のミッションのひとつである郵便局チャネルを活用したLIMEX製品の販路拡大の施策も、本格的な提案フェーズに入っていた。

まずは、「年賀はがき用の広告印刷物をLIMEXに代替する」という提案から行うことになった。たまたまその業務の担当者が武澤と同期の女性だったこともあり、スムーズにアポイントが取れ、快く話を聞いてくれた。

しかし、リスク的な部分も大きく、あまり前向きな返事はもらえなかった。
それどころか、もともと武澤の移籍を知っていたということもあり、「TBMの製品を自社に売り込むために移籍したの? 何のための移籍なの?」と言われ、ショックを受ける。

武澤は、TBMにとってはもちろん、日本郵便にとってもメリットがあると心から確信していたためセールスを行った。

そのことを笹木に話すと、「それ、ちゃんと意図が伝わってないんじゃない? どうやって伝えたの?」と問われて、ハッとする。

確かに……、なんでLIMEXなのか、それがどうして日本郵便のためになるのか。製品を説明することばかりに気を取られて、ちゃんと伝えられていなかったかもしれない。

再び話す機会を得た武澤は、改めて提案をし直した。
LIMEXは価格競争力があるためコスト的なメリットがあるほか、環境に配慮した素材を導入する企業として、日本郵便の企業イメージの向上にもつながること。それから、今後サスティナブルな社会へ移行していく中で日本郵便が果たすべき役割は大きく、今回の取組みが与える社会へのインパクトは大きいということ。

武澤は自分がセールスしている意図を、自信を持って丁寧に伝えた。
すると、「LIMEXのことも武澤さんのことも応援したい!」とそう言って、十分理解してくれた様子だった。

武澤は嬉しくて嬉しくて……、初めて仕事で嬉し涙を流した。

最終的には、予算的にも品質的にも納得してもらえたものの、現在業務を委託している他社との調整や、時間がないことのリスクなどから今年度の導入には至れなかった。

理由は納得できるものだったが、とても悔しかった。
それでも、本気で挑めば相手にちゃんと伝わることを、身をもって実感した。

その同期社員は、その後も、引き続き社内に働きかけてくれている。
武澤は、今回の提案に協力してくれたTBMの仲間のためにも、日本郵便のためにも、それから、社内で働きかけてくれている同期のためにも、絶対導入を実現させたいと思った。


「第3章 何のためにやるのか?」へ続く

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【「&ローンディール」編集部 よりお知らせ】

武澤さんの移籍先、株式会社TBMさんでは一緒に挑戦できるプロジェクトメンバーを各種職種で募集しているそうです! ご興味ある方は是非チェックしてみてください。
https://tb-m.com/recruit/entry/

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協力:日本郵便株式会社、株式会社TBM
storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

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