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【第1章 マネージャーがベンチャー企業へ 】入社以来、今が一番ワクワクしている! 〜マネージャーが社会課題の現場で見つけた、今すべきこと〜

 「移籍者たちの挑戦」シリーズでは、大企業で働く社員が「レンタル移籍」を通じて、ベンチャー企業で学び、奮闘し、そして挑戦した日々の出来事をストーリーでお届けします。
 今回の主人公は、株式会社オリエンタルランドから、「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」などに取り組むソーシャルベンチャー・認定NPO法人フローレンスに移籍した出川千恵(でがわちえ)さん。出川さんは2018年6月から移籍を開始し、6ヶ月間の移籍を終えて、2018年12月に帰って来ました。そんな出川さんのストーリーを全4回でお届けしていきます。


—自らベンチャーに行くことを決意

「えっ、出川さん、本当に大丈夫ですか……?」
それが、チームメンバーから開口一番に言われたセリフだった。

マーケティング本部 マーケティング推進部で、マネージャーとして数十名の部下を取りまとめる出川千恵(でがわちえ)は、2018年6月から半年間、ベンチャー企業へ行くことが決まった。出川自ら立候補し、採択された。

それが社内で公表されると、仲間やチームメンバーからは、出川が本当にベンチャー企業でやっていけるのか……、心配する声が挙がる。

しかし出川はポジティブだった。
ベンチャー企業といえば、ハードなイメージはあるものの、「同じ人間がやっているんだから、自分だって乗り切れないはずがない」という自信と、「大変なら大変で、いい経験になるんじゃないか」と、意欲に溢れていた。

—ひとつの会社しか経験がないというコンプレックス

出川は新卒で株式会社オリエンタルランドに入社。
真面目でまっすぐな性格の出川は、入社以来、仕事に邁進し続けてきた。日々忙しい業務の中でも、その中にやりがいを見つけ、常に前向きだった。

そして5年前、現在のマネージャーになり、事業管理に加え、チームメンバーの育成にも携わるようになる。

そんな中でふと思うことがあった。それは、
「自分ももっと成長できるんじゃないか? 視野を広げたほうがいいんじゃないか?」ということ。

もうすぐ社会人生活も折り返し。
「このままでいいのかな……」と立ち止まることもあった。

出川にとって、ひとつの会社しか経験がないのはコンプレックスだった。
長くいればいるほど視野が狭くなり、世間との乖離してしまうのは? という不安があったからだ。

出川の業務は社内調整がメインである。
そのため、業務のほとんどが全部社内で完結してしまう。
外部の関わる企業も固定化されてくる。

そもそも、仕事で新しい環境に触れる機会が少ないのだ。
だからといって他の会社に行こうとも思わない。求められる今の場所で頑張りたい。これからもこの会社で貢献していくことを選択するだろう。

とはいえ、入社10年、15年などの節目を迎えるたびに、出川は「もっと新しいことにチャレンジしたほうが良いのでは……」という漠然とした想いと、マネージャー職になってからは、自分の成長についても考える機会が増えていた。

—久々にスイッチが入った!

出川は今まで、外部企業を交えた研修などの経験はあるものの出向経験はなかった。

また業務で関わる企業も大企業が多く、身近な友人の勤め先も同じく大企業ばかりと、大企業以外の感覚が分からない状態だった。

このままだと広がりがない……。
自身の成長を考えると、どうしても既存の枠から出ることができない現状に不安を覚える。

そんな日々を送る中で、出川は、社内公募でたまたま「ベンチャー企業へ半年間出向したい人募集」という告知を目にすることになった。

今回、経験することになった「レンタル移籍」である。
「レンタル移籍」とは、株式会社ローンディールが提供する実践型のプログラム。大手企業の社員が一定期間ベンチャーに行き、事業開発などの経験を経て、自社に戻ってきた後にその経験を活かす、という取り組みである。

告知を見た出川は、「行きたい…」直感でそう思った。
しかし、ベンチャー企業=若い人がアクティブに働く場所、という印象が強く、40代という年齢は対象とされていないのではないかと思った。

とはいえ、一度「これだ」と思うと、何が何でもやりたくなるタイプの出川。普段は保守的なことが多いのだが、スイッチが入ると後先考えずに飛び込んでしまう性格もあり、誰にも相談せず、すぐにエントリーした。

—みんなの期待を裏切らない私

出川は幼少の頃から、保守的で優等生タイプだった。
三人兄弟の長女ということもあり、“面倒見が良く安心感がある”というのが周囲からの評価であり、それが自分のキャラクターであることもよく理解していた。

そのため、この頃から空気を読むことも得意で、
「これはこの場で発言していいのかな?」
と周囲の様子を伺い、一呼吸置いてから言葉を選んでしゃべることも多かった。

もちろん、突拍子も無いことはやらない。
「みんなの期待を裏切らない私」を子どもながらに意識して過ごしていた。

優等生でいることで、親や先生が喜んでくれるのが何よりも嬉しかったからだ。

しかし、出川にはスイッチがあった。
「これは自分でやりたい!」と一度火がつくと、普段はおとなしいのに学級委員に手を挙げてみるとか。
人前で話をすることが苦手なのに、大学時代のサークルで、演劇大会に出場する大舞台の「役者をやってみたい!」と急に立候補したり。周囲を驚かせることもあった。

普段は控えめな出川だからこそ、心の奥に秘めた情熱や想いがあり、その琴線に何らかのスイッチが入った時、とてつもない行動力が生まれるのだった。

—周りの人の笑顔が見たいから

そもそも出川がオリエンタルランドに入社を決めたのは、「人を笑顔にする会社」というビジョンに心惹かれたから。
「ここで働けば、周りの人を笑顔にするような人間になれるんじゃないか」そういう純粋な想いからだった。

仕事では、「出川さんがいたから頑張れた」とか「出川さんのおかげ」というように、周囲が喜んでくれることが何よりも嬉しい。

だから、出世したいとか会社を変えたいとかそういう大きな欲はなく、周りを笑顔にしていければそれで良いと思っていた。

—「役に立てるかも……」という想いからフローレンスへ

レンタル移籍を数ヶ月後に控え、行き先のベンチャー企業を決めるフェーズになった。

出川が今回のプログラムに期待していたのは、組織のリーダーとして視野を広げ、変革思考を身につけること。しかし、どのベンチャー企業でもその経験は得られそうだ。

そうなった時に何を基準に選ぶのか。
出川は「自分がなるべく役に立てそうな企業(事業)にしたい」と考えた。

というのも、移籍先で自身が得られることはきっと大きいが、たった半年で自分が残せる結果は少ないだろうと思っていたからだ。
だからなるべく親和性があって、自分の強みが活かせそうな企業を選ぶことにした。

出川はいくつかの企業と面談を行った。
結果、一番ビジョンに共感できた、認定NPO法人フローレンスへ行くことに決めた。

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フローレンスのエントランスで撮影した1枚


フローレンスは、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」をビジョンに、「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」などに取り組むソーシャルベンチャー。

出川は、自分も子どもがいるということもあり、共感できることが多く、その経験が役に立てるのではないかと思った。

出川はNPOの事業に触れるのは初めて。
しかも社会人になってオリエンタルランドという世界しか知らない。

不安はあったものの、やるしかない。
移籍前、出川は会社の後輩女子たちから「出川さんが頑張るのを見て勇気をもらった。私も頑張ります!」というような嬉しいメッセージを沢山もらっていた。

「彼女たちのためにも、チームメンバーを成長させるためにも、まずは自分が見本を見せないと!」
出川は自分にそう言い聞かせた。

→「第2章 自分でやっている感」へ続く


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協力:株式会社オリエンタルランド、認定NPO法人フローレンスstoryteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/



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