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「地域×レンタル移籍」実現への道 -ローンディール 後藤幸起-

こんにちは。ローンディール COO(最高執行責任者)の後藤です。
弊社は、大手企業の人材を、一定期間ベンチャーでの事業開発に参画させ、育成する「レンタル移籍」という仕組みを運営しています。その中で私は、個別のプロジェクトを担当しつつ、レンタル移籍の仕組みそのものの品質維持・向上に気を配ったり、ローンディールとしての新たな取り組みに着手したりしています。
そこで、今回は、私が推進している新しい取り組みの中で、「レンタル移籍と地域との連携」についてご紹介します。

初めての地域連携は広島県

なぜ今、地域なのか。詳細は後ほど言及しますが、私は以前地域で働いていたことがあり、その時に、地域企業にはまだまだ大きなポテンシャルがある、と感じていました。ちょっとした改善で、事業や組織にインパクトのある変革を起こすことができる。「何かきっかけがあれば...」そんな風に考えていました。

そんな中で、これまでも様々な地域の方や地方自治体からお声がけをいただきましたが、色んなご縁とタイミングが重なり、2021年度から、広島県の皆さんとプロジェクトをご一緒できることになりました。ローンディールとしては、初めて、地域と連携させていただくことになります。

具体的には、「令和3年度ベンチャー留学プログラム事業」という名称で、広島県が県内に主たる事業所を置く事業者に対して、組織のイノベーションを促進する人材の育成をサポートするものです。そこに、レンタル移籍を活用いただくことで、費用の半額が県の補助金で賄われる、というものです。
詳しくは、以下をご覧ください。


対象となる企業の規模は問わず、また拠点についても、本社はもちろん支社や支店があるということでも対象になるので、つまりは県内の全ての企業が対象となります。

 
なぜ、地域で行うのか

今回の取り組みは、昨年の夏ごろ、県庁の方々から「県内企業の人材のベンチャー出向を後押しするような制度をつくりたい」とご連絡をいただいたところから、プロジェクトがスタートしました。そこから約半年間、制度設計の段階からご一緒させていただき、今年度より無事に制度化となりました。

広島県は、「イノベーション立県」を標榜していて、ベンチャーの誘致、アクセラレーションプログラムの運営、起業家育成などを積極的に行い、県内でイノベーションを活発化させようという強い方針を掲げています。

また、偶然ですが、広島は、私個人にとって、たいへん縁のある土地でもありました。10年前には1年半ほど県内に住んでいたことがあり、2015年から2018年まで役員を務めた前職の中小企業は、本社を広島に置いていたので、東京から毎週のように出張で通っていました。任期途中の2016年には、自らローンディールを利用してベンチャーにレンタル移籍をし、そこで得た多くの学びを自社に全力で還元することで、復帰後の1年間で、売上が増え、コストが減り、結果として利益が倍増するに至りました。

その後、期せずして会社を売却することになり、自身の思いは道半ばで途絶えてしまいましたが...その時に感じたのは、地域の企業の大きなポテンシャルでした。
 
広島に限らず、地域の企業は、都心と比較すると多様なスキルや経験を持った人材が確保しづらく、新規事業や他社との協業など、新しいチャレンジをしたくてもなかなか踏み出せないのが現状です。また、既存の仕組みの変革や改善という面でも、例えば営業の管理の仕方やマーケティングの手法、色んな管理ツール一つとっても、長年変わっていなかったりします。それらを最新のものにアップデートするだけで、劇的に生産性が上がったり、コミュニケーションが円滑になったりと、組織全体にポジティブなインパクトを出すことができます。

実際に過去のレンタル移籍者の例でお話しすると、ベンチャーでの事業開発経験を活かして自社で新規事業を立ち上げたというケースはもちろん、極限まで生産性と効率化を求めるマインドを身につけて自社に復帰し、その後、色んなITツールを入れ替えて、年間で数百万円のコスト削減を実現したという方もいます。

また、レンタル移籍者は、毎週、所属企業の皆さんに向けてレポートを提出することになっているのですが、移籍者の奮闘ぶりをレポートで読んだ方々が「あいつも今苦労しながら頑張っているんだから、自分たち負けていられないな」と士気が上がり、売上が向上した、という事例もあります。こういったことは、大手企業に限らず、ポテンシャルのある地域の企業でも必ず実現できる、そんな風に感じています。


「地域版レンタル移籍」で実現したい世界

そういった背景や思いと、県からの補助金を後押しにして、現在は、県内の色んな方々にレンタル移籍のお話をしている段階です。皆さん趣旨に共感はしていただけるのですが、いざ人を出すかどうかとなると「ぎりぎりの人数でまわしているので人を剥がせない」「うちには行かせられるような人がいない」「業績が良くないので育成にお金をかけられない」といった反応になります。
 
振り返れば、ローンディールは、レンタル移籍の事業開始当初、多くの人から共感を得ながらもなかなか実績に結びつきませんでした。そんな状況でも、粘り強く、興味を持ってくださる方々と丁寧にコミュニケーションを重ねることで、徐々に認知を広げていった過去があります。特に、その時々の世の中の動きと絡めて仕組みの意義を語る、ということは意識して行ってきました。人材育成の分野では、ここ数年、新規事業やオープンイノベーション、働き方の多様化など、新たな潮流が出てきていますが、その流れを汲んで自社の取り組みの意義を語ることで、深くご賛同いただき、うちでも導入してみよう、と思っていただける企業が増え、現在の実績(2021年5月時点で47社134名)に至っています。広島での取り組みは、時を遡って、もう一度事業開始の時に戻ったような錯覚を感じさせます。

今後、従来のレンタル移籍の「大手企業とベンチャー」という組み合わせだけでなく、「地域企業とベンチャー」や「地域と都市部」というように、働く人々が自分たちの枠を飛び越えて外の地域と深く交わり、新たに身に付けた知識やマインドという武器をもって、自分たちの居場所をさらに魅力的に変えていく。そんな世界を実現したいと考えています。

まずは「地域版レンタル移籍」の第一歩として、広島県での実現を目指していきますので、ぜひ今後の展開にご期待ください。

そして、広島や地域というテーマで、何かご一緒できそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡いただけると嬉しいです。


文:後藤幸起(ローンディール COO)
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/


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〜レンタル移籍者4名のリアル経験談〜


【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計47社 134名のレンタル移籍が行なわれている(※2021年4月1日実績)。→詳しくはこちら


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