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「韓国出身の南さんが日本の“お祭りベンチャー”で得たもの」NTT西日本 南多泳さん-前編-

 私には、胸を張って誇れるスキルがない――。そんな悩みを抱えていたのは、大手電気通信会社・NTT西日本(西日本電信電話株式会社)に勤める南 多泳(なむ・だよん)さん。入社5年目、社外の友達と話していた時、自分だけが出遅れている気がしたとのこと。学生の頃から掲げていた「新規ビジネスを立ち上げたい」という目標を達成するべく、南さんはさまざまな経験を積み、自信につながるスキルを身につけようと動き出します。
 その中で出会ったものが「レンタル移籍」。同じ部署の先輩が移籍先の企業で活躍している姿を見て、興味が湧いた南さんは、すぐに「私も行きたい」と申し出たそう。

 そして、2019年4月にNTT西日本を離れ、新天地で働き始めます。2020年3月までの移籍先は、“祭りで日本を盛り上げる”という理念を掲げた株式会社オマツリジャパン。祭りを活用したプロモーションやブランディング戦略の立案、祭りの運営サポートなどを行う企業で、南さんにとっては未知の世界でした。
 ベンチャー企業という新たな環境の中で、まったく経験のない業務を通じ、南さんにはどのようなスキルが身についたのでしょうか。ぎゅっと凝縮された1年間を、振り返ってもらいました。

ずっと抱いていた「新規ビジネス立ち上げ」という夢

――現在勤めているNTT西日本には、新卒で入社されたんですか?

 はい、新卒で入って、今年で7年目になります。私は韓国出身で、大学生の時に日本に来たのですが、当時の日本はまだWi-Fiなどの通信インフラが整っていなくて、不便に感じていたんです。親や友達が日本に遊びに来た時も、通信環境が整っていないと不自由なことも多かったので、ICTを通じて外国人が観光しやすい国にしたいと思い、NTT西日本に入社しました。

――インバウンド向けに、新しいサービスを提供しようと考えていたんですね。

 そうです。新規ビジネスを立ち上げたいって思いがありました。ただ、最初の2年間は営業に配属されて、ひたすら法人向けの新規開拓の日々でした。3年目に、ビジネスデザイン部というビジネス開発の部署に異動したのですが、法人向けの既存サービスの制度料金担当だったので、新規ビジネスには関われなかったんです。

 その部門に2年半ほど在籍していた時に、ベンチャー留学(NTT西日本での「レンタル移籍」の別称)の存在を知りました。部署内での施策として、取り入れられていたんです。

――ビジネスデザイン部での取り組みなのですね?

 ビジネスを創出する部署なので、ベンチャー経営者の間近で働くことで経営全般を見渡す感覚や挑戦する姿勢等若い間に得るきっかけが少ないスキル・経験を修得し、それを自社内外含めて積極的に発信してほしい、という思いから導入したと聞きました。

 私が知った時には、既に2人の先輩がベンチャー留学を経験していたのですが、刺激をもらいながら楽しそうに働いている姿を見て、興味を持ちました。あと、NTT西日本にいるだけでは関わるチャンスがなかなかない業界で、いち社員として働けるところも面白いなって思ったんです。

――そして、立候補されたんですね。

 はい、「ベンチャー留学したいです」って手を挙げました。私が新規ビジネス創出の仕事をしたがっていたことは、部署の皆さんも知っていたので、「チャレンジしてみたら」って応援してくれたんです。すごく感謝しています。

アットホームな雰囲気で迎えてもらえたから、すぐに馴染めた

――南さんにとって、ベンチャー留学の目的な何だったんですか?

 ずっと「新規ビジネスの立ち上げに関わりたい」と言っていたのですが、そのために必要なスキルを持っていないことに気づいたんです。社外の友達と話していた時に、みんなはそれぞれ営業力とか企画力とか、培ってきたスキルがあったんですよ。対して私は、当時入社5年目でありながら、自信を持って「私はこれができる」って言えるものがなくて、恥ずかしかった。

 だから、ベンチャー企業で経験を積んで、スキルを身につけたいと思いました。社員の少ないベンチャー企業はやるべき業務が多いし、1人当たりの裁量も大きいので、主体的にプロジェクトを回す力を高めることができるんじゃないかって考えたんです。

 そして、スキルを高めるためには、環境を整えている最中で、試行錯誤しながらチャレンジできる企業がいいんじゃないかという思いを持って、移籍先を探しました。

――企業選びの基準も、明確にあったんですね。移籍先となったオマツリジャパンの決め手は、どんなところにありました?

 名前が面白くて、気になったんです(笑)。あと、新しいサービスや商材の企画から提案、開発、実行まで、さまざまな面で発展途上の企業だったので、いろいろな経験ができそうだなと思って、応募しました。もともと観光ビジネスにも興味があったので、ヒントが得られるんじゃないかという期待もありました。

――まさに、南さんの希望と合致した企業だったんですね。

 いざ移籍したら、面接を受けた時と比べて、従業員がめちゃくちゃ増えてました。面接に伺った時は、業務委託の方々も含めて10人くらいだったのですが、倍くらいに増えてたんです。スピーディーな変化を見て、世の中に求められている企業なんだなって感じましたね。

 あと、代表の加藤優子さんが、産休でいらっしゃらなかったんです。女性経営者というところにも興味があって入社したので、いなかったことにびっくりしましたが、それでも会社が回っていることにさらに驚かされました。小規模ながら、責任分担ができているんだなって。

――思いがけない変化もあったとはいえ、南さん自身が大企業からベンチャー企業に移籍したことが、もっとも大きな変化ですよね。戸惑いや不安はなかったですか?

 オマツリジャパンには会社としてのルールがほとんどなかったし、肩書はあるものの従業員同士の関係がフランク。NTT西日本とは職場環境が違いすぎて、最初は戸惑いましたね。入社したばかりの頃は、従業員同士のやりとりにFacebookのメッセンジャーを使っていたことにも驚きました(笑)。

 お祭りが好きで入社した人がほとんどの会社なので、“祭りで日本を盛り上げる”というミッションが全員に浸透しているし、励まし合いながら仕事を進めていて、とにかく前向きなんですよ。アットホームな雰囲気で迎えてもらえたので、私もすぐに馴染めたのかなと思います。

――南さん自身、新しい環境でも臆せずに飛び込んでいけるタイプですか?

 そうだと思います。だから、オマツリジャパンのみんなも受け入れてくれたのかもしれないです。

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オマツリジャパンのメンバーと


業務を理解するまで「受け身」になってしまった自分

――オマツリジャパンに入社して、どんな業務を任されました?

 自分のミッションは2つあって、1つは祭りを活用した企業のマーケティングプロモーション企画提案や自治体の入札案件、パートナー企業の開拓など、営業の仕事。もう1つは、新規ビジネスや商材の開発でした。

――営業にしろ新規ビジネスの開発にしろ、オマツリジャパンという会社を理解していないと、難しいですよね。

 オマツリジャパンで働いている間、友達や知り合いからも、よく「何をやってる会社なの?」って聞かれましたね。祭りの課題と企業の課題をマッチングして、解決できるソリューションを提供している会社というとわかりやすいのですが、最初は私もきちんと把握できていませんでした。

 だから、一緒に仕事をすることが多かった共同代表の山本陽平さんや自治体の営業を担当していた大山勝廣くんに、過去の案件などを教えてもらいながら、知識を得ていきました。最初は、営業に同行してもらって、アドバイスをもらうことも多かったです。

 その中で自分から質問することもあったんですけど、基本は受け身というか、指示を待っている部分がありましたね。あまり積極的に動けなかったです。

――スキルを磨くという目的を持ちつつも、なかなか動けなかったんですね。業務を通じて、受け身の姿勢は変わっていきましたか?

 変わるきっかけがありました。移籍1~2カ月くらいで、営業担当者から自治体の案件を引き継いだのですが、その時点で条件やスケジュールは固まっていたので、私がすることはほとんどないはずでした。

 でも、6月末にその案件の内容が急きょ変わることになり、スケジュールが後ろ倒しになって、条件なども改めて詰めることになったんです。

 最初は契約先の担当者から指示があるだろうと思い、あまり積極的に動いていなかったのですが、先方のレスポンスが遅く、進行が予定よりかなり遅れてしまいそうになって、焦りました。その時に、どんな立場であれ、自分がリードしなきゃいけないって意識が芽生えましたね。

――具体的には、どのように取り組んでいったのでしょう?

 自分で「ToDo」を整理して、やるべきことをリスト化してまとめたり、担当者にも動いてもらえるように働きかけたり。決して特別なことではないんですけど、自ら動いて、マネジメントのような役割を担うことで、業務が停滞せずに進んでいくことを知りましたね。また、細かな作業の大切さも実感しました。

 それまでは受け身の姿勢で仕事に臨んでいたんですが、この案件で、積極的に動くことが業務にプラスに働くんだと体感的に知ることができて、能動的に動けるようになったと思います。お客様のもとに行って、新規ビジネスを提案したり、パートナー企業の開拓に動いたり、自分1人でも躊躇せずに進めていけるようになりました。

ーー明確な目的を持ち、未知の世界に突き進んでいった南さんでも、慣れない環境に戸惑い、二の足を踏んでしまいました。しかし、自分が働きかけなければプロジェクトが進まないという状況に直面し、仕事との向き合い方が変わっていきます。後半のエピソードでは、能動的に動いたことで得られた成長について伺います。


→後編へつづく


【株式会社オマツリジャパンより、
「オンライン夏祭り2020」開催のお知らせ】

コロナ禍で祭りが相次いで中止となっている中、中止となった祭りを応援する社会貢献イベントとして、オンラインで楽しめる夏祭りを企画致しました! 当日は徳島の阿波おどり、沖縄のエイサーなど全国の7つのお祭り団体に出演いただき、祭りを体験して楽しめるコンテンツを用意している他、投げ銭による祭り団体への寄付金収集も実施致します。
当プロジェクトのご協賛に少しでもご興味を持たれましたら、ぜひ下
記リンクをご参照の上、オマツリジャパンまでお問合せ下さい。



【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計38社97名のレンタル移籍が行なわれている(※2020年7月実績)。→詳しくはこちら


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協力:西日本電信電話株式会社 / 株式会社オマツリジャパン
インタビューアー:有竹亮介(verb)
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/
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