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【第1章 このままじゃいけない】結果を出したい!〜お祭りの現場で見つけた、ビジネスをつくるヒント〜


  今回の主人公は、株式会社オリエンタルランドから、全国のお祭りを支援するベンチャー企業、株式会社オマツリジャパンに移籍した大内花菜子(おおうちかなこ)さん。大内さんは2018年6月から移籍を開始し、6ヶ月間の移籍を終えて2018年12月に帰って来ました。そんな大内さんのストーリーを全4回でお届けしていきます。

今回の主人公
大内 花菜子(おおうち かなこ)

株式会社オリエンタルランド フード本部フード企画室 フードプロモーショングループ 所属。東京ディズニーランド・東京ディズニーシーのスペシャルイベントフード企画を担当している。仕事にはやりがいを持っている。しかし「社内のリソースだけを活用する仕事の進め方で良いのだろうか。社外の楽しいことを作りだしている企業と一緒に価値を創造する方法を身につけたい!」という想いからレンタル移籍を決意。初めてのベンチャー企業。「新規事業で売上を作る」というミッションに奮闘し、ビジネスをつくりあげていくヒントを得る。


株式会社オリエンタルランドのフード本部に所属する大内花菜子は現在、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーで行われる、スペシャルイベントのフードメニューの企画・開発を行っている。

ニューイヤーやイースター、七夕、ハロウィン、クリスマスなどのイベントを彩る限定のフードメニューは、人気キャラクターをモチーフにしたものや、かわいらしいものが多い。InstagramなどのSNSでアップされ、ファンのみならず多くの人を楽しませている。

そんな大内が「レンタル移籍(※1)」に手を挙げたのは、自身の成長のためであり、会社のためであり、そしてゲストのためだった。

—「楽しい」を提供できる場所へ

大内は新卒でオリエンタルランドに入社。
最初に興味を持ったのは、オリエンタルランドの人材教育だ。

ディズニーランドというエンターテインメントを作り上げる「人」の教育に興味を持った。しかし、他にも気になる企業が複数あったため、(オリエンタルランドは)あくまで候補のひとつだった。
そんな中、あることをきっかけにオリエンタルランドに強く惹かれるようになる。

それは2011年3月の東日本大震災。
まさに就職活動をしている真っ只中だった。

大内は福島県出身。
実家で暮らす家族が被災した。

全員無事だったものの、震災の日からしばらく連絡が取れないほど不安定な状態が続いた。ようやく家族と連絡がつき、実家で暮らしていた妹と電話で話したときのこと。

電気もガスも使えない、という過酷な中で、
「今、何が必要? 何がしたい?」
と大内が尋ねると、
「ディズニーランドに行きたい……」
妹から思わぬ一言が返ってきた。

この時、大内の中で何かが大きく動いた。
どんなに過酷な中でも「楽しいと思える場所」があることの大切さ。
そして、辛い気持ちのなかでも人々に希望を届けるディズニーランドのパワーを身を以て知った。

それ以来、オリエンタルランドへの志望が一気に高まり、その想いは届いた。

—このままだと置いていかれる…?

あれから7年が経った。
元々興味があった人材教育においては、入社してすぐ、キャストの管理という業務において多くの学びを得ていた。

今は、イベントを彩るフード企画を担当している。
フードを通じて、ゲストを楽しませることにもやりがいを感じる。

しかし、この部門に配属されて数年経ち、既存の業務に慣れてくると、
「もっとできることはあるんじゃないか…」
そう思うようになっていた。

世の中には魅力的なエンターテインメントが山ほどある。
それらコンテンツが溢れる中で、わざわざ足を運んでくれるゲストに、自分は最高の楽しさを提供できているんだろうか? そんなことを考えるようになっていた。

オリエンタルランドには、長年かけて構築してきたゲストを楽しませる沢山の仕組みがある。それらがあるからこそ、ゲストに価値が提供出来る。

しかし世の中は多様化し、とてつもないスピードで進化している。
「本当にこのままのやり方でいいんだろうか? 置いていかれるのではないか?」会社を誇りに思う一方、そんな不安も抱えていた。

—ベンチャー企業だからこそ行きたい!

大内は過去に、社内研修・社外研修ともに経験がある。
自ら社会人向けビジネススクールに通うなどもした。
いずれも多くの学びにはなった。しかし大きな変化には繋がらなかった。

そんな時に、社内で「レンタル移籍者の募集」を目にする。
「ベンチャー企業で事業開発の経験が出来る」という、「実務経験」に強く惹かれた。

(ビジネスをつくり上げる現場に行けば、変われるかもしれない……。新しいサービス開発に繋がるかもしれない)

大内はすぐさま立候補した。
半年という期限が決まっていたため、辛くても乗り切れるだろう。
不安より、期待の方が大きかった。

—あえて、“用意されていない場所”を選ぶ

レンタル移籍は本人が行き先のベンチャー企業を選ぶ。
面談を経て、両者が合意すれば成立する。

大内は数ある候補の中から2社に絞った。
そのひとつが株式会社オマツリジャパンだ。
オマツリジャパンは日本で唯一、全国のお祭りを応援する会社として、2015年に設立したベンチャー企業。お祭りをビジネスにするという新しい着眼点と、自分と近い世代の人たちが立ち上げた、という部分にも惹かれた。

2社の面接を経て大内が最終的にオマツリジャパンに決めたのは、用意されているものが少ないという点だった。
もう一社も十分魅力的な企業ではあったもののすでに整っている感が強く、「自分から動かなくても用意される」という印象を受けた。

大内は「自分でゴリゴリやっていきたい」という想いが強かったため、あえてまだ環境が整っていない、余白が大きい企業を選択。

オマツリジャパンでは、「こういう仕事をお願いしたい」という要望はあったものの、それを実現するためのプロセスが決まっているわけでもなければゴールが見えているわけでもない。そのため、大内がどう動くかで結果が大きく変わってくる。

不安である一方、実現することで会社への貢献度も間違いなく大きい。
大変かもしれないが、こういう環境だったら自分の成長にもなるし、経験を持ち帰ってオリエンタルランドで実現することで、会社にも大きく還元できる! そう思った。

———こうして迎えた2018年6月。
大きな期待から始まった半年間のレンタル移籍がスタートした。

しかし、馴染みのない業界、協賛事業、お祭りと……、初めてだらけの中で、大内は「売上があがらない」ことに日々苦しめられることになる。


→ 第2章「売上をつくれない」へつづく

(※1)レンタル移籍とは?
大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2016年のサービス開始以降、計21社39名以上のレンタル移籍が行なわれている(※2019年4月現在)。
導入企業の実績はこちら https://loandeal.jp/biography



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協力:株式会社オリエンタルランド、株式会社オマツリジャパン
storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

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