見出し画像

他流試合の経験がミドルマネジメント層を目覚めさせる

ベンチャー経営者が抱える課題に対して、大企業のミドルマネジメント層が解決策を提案するオンラインプログラム「outsight(アウトサイト)」。同プログラムの肝となるのが、“他流試合”の経験です。“他流試合”のメリットは、多様な人との交流や議論を通じて新たな観点やアプローチを得ることにあり、経営者育成やリーダー育成などおいても注目されています。そこで今回は、「outsight」が行っている他流試合のプログラムをご紹介するとともに、なぜミドルマネジメント層に提供しているのか。その背景をお伝えします。
(語り=細野真悟 | ローンディール CSO / 「outsight」運営責任者 )

イノベーションには、ミドルマネジメント層の変化が不可欠


「outsight」の参加者の多くは、課長・部長といった役職についているミドルマネジメント層です。ある程度の社会経験を積み、ビジネスのスキルや知識も蓄えているミドルマネジメント層になぜ“他流試合”が必要なのでしょうか。お話しできればと思います。

参考:リクルートマネジメントソリューションズが実施した「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年」より抜粋

人事担当者及び管理職層に「企業の課題」を聞いた設問では、「新価値創造・イノベーションが起こせていない」がもっとも多いという結果が出ています。また、ミドルマネジメント層の負担は増えているものの、経営を担う人材の育成や新しい仕事への挑戦は進んでいないという課題も見えてきました。

一方、同調査で管理職の役割を聞いた設問を見ると、人事担当者・管理職層ともに「メンバーの育成」がトップで、「新価値・イノベーションの創造」はあまり求められていないことがわかります。つまり、現在の日本企業の多くは、「発展にはイノベーションが必要」と感じているものの、それがミドルマネジメント層の役割とは捉えていないという状況にあるといえるのです。果たしてそれで良いのでしょうか。

そもそもイノベーションとはどのように起こるのか。それは「新しい知の組み合わせ」にヒントがあります。

既存の事業領域にコミットすることで、その領域や顧客のことを深く知っていく「知の深化」と、越境学習などを通して既存領域から外に出て新たな知を求める「知の探索」。これらを組み合わせることで、イノベーションが生まれていくと考えられるのです。

そして、「知の深化」と「知の探索」を組み合わせられる適任者こそ、ミドルマネジメント層だといえます。

これは私自身の経験ですが、2000年にリクルートに入社してからの14年間メンバーとして現場で働き、その後、マネージャー、部長、役員、社外取締役とステップアップしていきました。

メンバーの最初の頃は自社の事業を深く知らない状態でしたが、外に出るフットワークの軽さはあったので、隣の芝生が青く見えていました。しかし、外ばかり良く見えて、自社のイノベーションには結びつかないわけです。

一方でマネージャーになると、各論の知が深まり、さらに外に出られる自由さも得られました。そんな中で、とあるベンチャーの代表と出会い、ベンチャーの仕事の進め方やリーンマネジメントの考え方に触れるなど、数々の他流試合を経験した結果、自社の事業と掛け合わせてイノベーションにつなげることができました。

年齢を重ねるごとに既知の間柄の人と会う時間が増え、つき合いが狭くなってしまうもの。こうした私自身の経験からも、深い各論の知を持つミドルマネジメント層にこそ、“他流試合”を挑戦する必要性を感じています。

他流試合がミドルマネジメント層に与える影響


ではどのような他流試合を経験すると、ミドルマネジメント層がイノベーションへと動き出せるのでしょうか。

多くの企業が抱えている課題は、ミドルマネジメント層が新価値創造に消極的、未知の課題への対応力が低い、成長スピードが鈍いというもの。その原因は、メンバーマネジメントなどの内向きの業務や社外との接点の減少、過去の成功体験に頼る構造にあると考えられます。

裏を返すと、理想的なミドルマネジメント層は継続して学び、高い視座でイノベーションを牽引し、未知の課題に対して自分なりの仮説を立てられる人材といえます。ただ、急に理想を目指すのは現実的ではないので、まずは社外に興味を持ち、イノベーションの足を引っ張らず、未知の課題から逃げない人材に育てることが、イノベーションを生む重要なポイントになるでしょう。

ちなみに各社、ミドル層に対してさまざまな研修を実施されていると思います。こちらの図は、よくある次世代経営者研修プログラムを概念化したものです。

課長クラスが集められ、経営者視座の獲得、変革を起こす能力の強化などを目的に、インプットとアウトプットの場が設けられている。インプットは外部講師を呼んでの講演会。アウトプットはチームで議論し、自社の課題と解決策を経営者に発表する。そして経営者との意見交換会を行う。こういった研修パターンが多いのではないでしょうか。

もちろん大事な要素ですが、知識をインプットし、自身の知識の中で解決策を考えいくだけでは、ミドル層を目覚めさせる要件には足りていないんじゃないかと思います。

というのも、先ほどからお伝えしている、「他社人材との切磋琢磨」が入っていません。

理想的なミドルマネジメント層を育成するために必要な要素が、外に飛び出して行う「他社の人材との切磋琢磨」、知らない領域で仮説を立てる「強制的な仮説思考の訓練」、経営全体を見る力を養う「経営者の視座に立つ訓練」の3つです。

「outsight」は、この3つに着目し、設計しています。具体的には、毎週90分間のオンライン研修を通じて、ベンチャー経営者が抱える課題に対する仮説を議論し、解決策を提案していくというプログラム。約700社のベンチャー企業の中から、2週間ごとに1社が登壇し課題を提示していくため、さまざまな業界、事業領域の課題にチャレンジできます。既存の次世代経営者育成研修に追加いただくこともできます。

また、単に解決策を提案するのではなく、ベンチャー経営者からのフィードバックが返ってくるところが特徴です。社外基準で自分を見つめ直す機会になるでしょう。また研修の時間内には、他社の参加者と仮説をぶつけ合う場も用意しています。ベンチャー経営者だけでなく、他の企業の方々との他流試合も経験できます。

ベンチャーの課題を解決する具体的なアイデアを考えることで「強制的な仮説思考の訓練」が実践され、その過程で他社の参加者と議論することで「他社の人材との切磋琢磨」が行われます。そして、自分や他者のアイデアに対してベンチャー経営者から具体的なフィードバックを貰う経験が「経営者の視座に立つ訓練」につながり、ミドルマネジメント層が目覚めていくというわけです。


* * *

では、参加者の声を少しだけ要約してご紹介します。

・事業において、物事を多角的に捉えて「考える」「アウトプットする」習慣がついた。
・多様なアイデアに触れたことで、部下のアイデアに的確なアドバイスができるようになった。
・他業界の方々との交流が持てて、自分を高めることができた。

など、マネジメント層ならではの変化や、他者との触れ合いによって、変化が起こっているようです。

また、「outsight」がきっかけで協働に至った事例もあります。

たとえば、参加者側の東芝テック社と、登壇したベンチャーyousualがタッグを組み、香りの販促アイテムとPOSデータをかけ合わせ、販促効果を検証する実証実験がスタートしたのです。研修の場を超え、参加者やベンチャー経営者の交流が行われ、企業同士がクロスオーバーする場にもなってきています。参加者の声や事例は以下よりお読みいただけますので宜しければご覧ください。


最後に。
多忙なミドルマネジメント層に、いかに「もっと学ばないとまずい」「新しい知が必要だ」と感じてもらうかは、会社のサポートにかかっているといえます。イノベーションを起こしていけるかどうかは、ミドルマネジメント層の目覚めで左右されると考えていますので、ぜひ、そのきっかけを一緒に作れたら嬉しいですね。


Fin

【outsight 詳細・お問い合わせはこちら】


ミドルマネジメントを「他流試合」で目覚めさせる「outsight」は、様々なベンチャー経営者が抱える課題に対して解決策を議論する週90分のオンラインプログラムです。
これまで、計46社、423名に参加いただきました。導入企業・参加者の声も以下よりご覧いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。

提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?