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「臆せず言ってみる、やってみる」自分の意見を伝えないと何も生まれない

【最終章】
わからないから止まるのではなく、わからないからこそ進める

「移籍者たちの挑戦」シリーズでは、大企業で働く社員が「レンタル移籍(※1)」を通じてベンチャー企業で学び、奮闘し、そして挑戦した日々の出来事をストーリーでお届けしています。
今回の主人公は、アステラス製薬株式会社から、無人コンビニ「600」を製造・販売しているベンチャー企業、600株式会社に移籍した神田直幸(かんだなおゆき)さん。神田さんは2018年10月から移籍を開始し、6ヶ月間の移籍を終えて、2019年3月に帰って来ました。そんな神田さんのストーリーを全4回でお届けしていきます。
→第1章「営業には向かない。それでも7年以上も続けたワケ」
→第2章「営業の売上だけが貢献ではない」
→第3章「 “プロダクトは変えてはいけない”という先入観」

ー大企業の事業開発で活かしたい「small start small goal」

2019年4月。
神田はアステラス製薬に戻ってきた。

戻ってからは、本格的に、ある新規事業に取り組んでいる。
神田は、他部門のスタッフ含めて20名以上のメンバーで構成されたチームのプロジェクトマネージャーを務めている。

部長の渡辺は、神田のことを「パートナー」と呼び、「俺に答えを求めるな、正解はない」と、神田を信じて任せてくれている状態。
ありがたい環境だと、日々感じている。

しかし、言い換えれば、自分で先導を切って推進していかなければ何も進まない状況。現在チャレンジしている新規事業は、アステラス製薬においても初めての取り組み。やりながら答えを見つけていくしかない。

以前の神田なら、ここで立ち止まっていたかもしれない。
”とりあえずやる”という行為が嫌いだったからだ。

何かをする時、まずはしっかりと作りこんで、納得してからでないとスタートできない性格だった。
しかし600社の経験を通じて、とりあえずやってみることの必要性を知る。

「わからないから止まるのではなく、わからないからこそ進める」のだ。

進めていく中で、適宜修正を加えることで、少しずつでも前進していく。
事業開発においては、それが大事だということを身を以って学んだ。

同時に、メンターの森からも教えてもらった、
「走り出して考える。考えている時間がもったいない」という言葉も、神田の挑戦を後押ししてくれている。
「small start small goal」という発想が初めて神田の中に生まれた。

ー「アステラス製薬が好き」この会社だから乗り越えられる

「その先を見たい!」という想いも、神田のモチベーションになっている。

未知のことだらけで、正直、大変なことも多い。
そもそも誰に聞いていいかすらわからない課題に直面することもある。
しかし今は、大変な状況すら楽しめている。

乗り越えた先に新しい世界があることを、600社での経験を通じて見てきてからだ。

「乗り越えた先にきっと……」

自身の成長、プロジェクトの成長。
そして、この事業を世の中に出すことで大きなインパクトになる、それを確信している。

また、神田はアステラス製薬から離れたことで、アステラス製薬を改めて好きだと実感している。アステラスというブランドはもちろん、社員のWILLを尊重してくれる環境、各分野のエキスパート、何かあった時には協力してくれる仲間の存在、すべてを誇りに思う。

これは外に出てみて気づいたこと。
アステラス製薬にいるからこそ、未来を信じ、チャレンジできているのだ。

ービジョンを語る自分に驚く

2019年6月某日、(アステラス製薬)社内で、神田が移籍の経験を発表する報告会が開かれた。オーディエンスは、140名程と予想を大きく上回る。

嬉しいような、緊張するような。
神田は報告というよりも、「自分の経験を還元して一人でも多くの人が何かチャレンジするきっかけになれば……」という発想で挑んだ。

結果、うまく伝えられない部分はあったものの、終わってから様々な人が、「いい経験したね」と感想を言いに来てくれた。

「自分だったらこうする」
「自分もやってみようと思った」
という、神田の経験がきっかけになった、と話してくれる仲間もいた。
社内に還元できたことが、嬉しかった。

また、神田は自身のビジョンも伝えた。
それは600社を通じて得た、社会を良くしていくという視点。

「今までは、疾患を改善するという課題があった時、極端な話、数値を下げることにフォーカスしていた。でも数値が下がった結果、患者さんの生活がどう変化して、延いては社会がどう変わるのか? 社会のどういう課題に貢献するのか? という視点を持って考えられるようになった」

社会を良くすることで、目の前の課題に対してもっと大きな還元ができる、そう考えている。

「医療を通じて社会を変えたいと思っている。ヘルスケアで社会を変える事業を作り上げたい。アステラスだからこそ解決できること、社会へのインパクトという観点から見極めていきたい」

神田は、未来をイメージしながらWILLを話す。
それと同時に、ビジョンを語っている自分にも驚いた。

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報告会の1枚。移籍中の経験を語る神田

ー最後までやり続けられるか、それに尽きる

神田は、ビジョンや精神論を語るのが好きではなかった。
想いよりも熱量よりもHOW。
どのようにやるかという方法論を大事にしていた。

しかし、移籍を通じ、新規事業において「人の想い」も、なくてはならない重要なことだと実感した。

移籍中、(600社代表の)久保に「新規事業で大事なことは何か?」と聞いたことがある。

久保は「今まで見てきた会社でいうと、新規事業は見えないところでどんどん潰れている、ほとんど残らない。でもそれは、会社側からのストップではなく、本人が諦めてやめているケースが多い。上っ面ではなく、本当に本人が解決したい課題だったら諦めないはず。自分ごと化できていないのが原因だと思う。結局は、その人が課題に向かって最後までやり続けられるか、それに尽きる。最後はそんな人に惹きつけられて、仲間も集まってくる」と、実経験を神田に話してくれた。

神田は、久保の話、そして600社での経験を通じて、想いをしっかり共有し、信じたことを疑わず、意思決定をして推進していくことが事業開発では重要だと感じた。人を惹きつけることは、新規事業を推進する上で様々なリソースを得ることにつながる。

「自分も久保さんみたいな人間になりたい」
そう思ってからは、目に見えない熱量や想い、ビジョンも大事にするようになった。

ーエピローグ

2019年7月。
早いもので帰任後3ヶ月が経った。

戻って早々、新規事業に取り組み、その合間に報告会を開いたり、あっという間の日々だった。

最近、「(レンタル移籍から)帰ってきて、すごい変わったね」と周囲から言われることが増えた。言われるまで気づかなかったが、確かに仕事の仕方やマインドに加え、コミュニケーションも変わったかもしれない。

今までは何かを問われた時に、”正解を言うこと”を目的でしゃべっていたことも多かった。「当たり障りない、でもちょっといいコメントをする」というのが、優秀で認められる人の発言だと思っていたからだ。

今は、場の空気を読んで円滑なコミュニケーションを心がけるよりも、ディスカッションして、発言に何らかのバリューを生むことを意識するようになった。相手が訝しい顔をしても、自分の発言によって新たな視点が生まれるのであれば、また議論の核心に近づけるのであれば、臆せず言うようになった。どう思われるかを考えず、考えていることをストレートに言えるようになった。

「自分の意見をしっかり伝えていかないと、何も生まれない」そう考えているからだ。

結果、発言することも増えた。


———製薬業界では10年以上かけて、1つのプロダクトを出していく世界。

神田が今育てているプロジェクトが、社会に大きなインパクトを与えるのは、少し先の未来だろう。
しかし、”臆せずやってみる、言ってみる、そしてビジョンを伝える”という新たなアウトプットを手にいれたことで、もしかしたらその日は、想像よりも早く訪れるかもしれない。

END


(※1)レンタル移籍

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2016年のサービス開始以降、計24社48名以上のレンタル移籍が行なわれている(※2019年8月実績)。→ お問い合わせ・詳細はこちら


協力:アステラス製薬株式会社、600株式会社
Storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

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