3人の上司が感じた確かな手応え。越境人材が増えれば、サッポロビールは個も組織も強くなる
異文化を経験し、
直接的な気付きと副次的な成果に期待
ーー今日は、side project参加者の上司の方々に集まっていただきました。メンバーをside projectに送りだす際、どのような成長や変化に期待していたのでしょうか。最初に白井さんからお願いします。メンバーの谷口さんの行き先はカーボンクレジットや、排出量取引制度に関する情報サービスを提供する株式会社ExRoadですね。
白井:谷口さんは十年ほどのキャリアがある方で、主に、経営企画部で中期経営計画の策定や全社横断プロジェクトのマネジメントを担ってくれています。
谷口さんはサステナビリティ領域への興味関心も高かったので、まずはサステナビリティ領域での知見獲得に期待していました。
また、異なるフィールドでご活躍されている方々との交流を通じて、士気が上がり、副次的な成果をもたらしてくれたらと考えていました。当社にはない組織風土の醸成や新たなビジネスのアプローチにつながったらいいなと。
業務が山場の時期だったので、正直なところ不安もありました(笑)。ただご本人は覚悟を決めていて、「実現するためにどうすべきか?」を思考できる方だったので、谷口さんなら大丈夫!と送り出しました。
ーー続いては原田さんにお聞きします。メンバーの林さんが行った先はサステナブルツーリズムで地域創生に取り組む、株式会社アスエクですね。
原田:私たちの部署では、外食企業様の経営のご支援をさせて頂いています。林さんはキャリアが20年ほどになるベテランの方で、主に、外食企業様のご繁盛のために業態開発や販促企画、また、社内メンバーの人材育成などを行ってくれています。
アスエク社もまさにコンサルティングやアドバイザリー事業を行っているので、当社で身につけたコンサルティング業務が社外でどれだけ通用するのか。通用しないとしたら何が課題なのか。自分なりに理解、認識できるといいねと話していました。
日頃からメンバーには「視座を高く、視野を広く、視点を多く」と話しているので、その点はまさにside projectによって磨かれるだろうという期待もありました。またサッポロビールのあたり前、うちの部署のあたり前は、世の中的にどうなのか。気づきを得るきっかけになればと話していました。
ーー最後に西澤さんにお聞きします。メンバーの鈴木さんが行った先は、「生命の力で地球を救う」をビジョンと掲げ、社会課題である地球温暖化問題の解決に向けカーボンクレジット創出売買支援事業などを展開しているGreen Carbon株式会社ですね。鈴木さんはワーキングマザーだと聞いています。
西澤:鈴木さんは小学生のお子さん二人を育てるワーキングマザーで、時短勤務をしながらの挑戦でした。
私たちの部署では、東海北陸近畿、中四国九州エリアの営業企画や施策の立案推進をしています。本社の意思決定を営業部門に伝達し、落とし込むことがミッションです。他社の意思決定のフローやレポートラインを見ることで、サッポロビールの情報伝達はどうあるべきか、何かヒントを得られたらという期待がありました。
また生産性の向上など、さまざまな観点での気付きから、当社に取り入れるべき施策のアイデアを見つけて欲しいと考えていました。
side projectの参加者が、
社内に挑戦する風土をもたらした
ーー現業のヒントになりそうな直接的な気付きと、副次的な成果。両方を期待されていたのですね。プロジェクト期間中は、メンバーをどのように見守っていましたか。社内調整で動いたことなどはありましたか。
白井:2週間に1回、1on1で状況や課題、学びを確認していました。基本的にはご本人が自ら手を挙げてさまざまな取り組みを行うなど、やる気に満ち溢れていたので非常に心強かったです。
一方、限られた時間で成果物を出すことへの苦労もあったようで。先方とどんなコミュニケーションをとりながら進めればいいのか、相談に乗りながら進めていった時期もありました。
ーー業務面でのフォローもされたのですね。西澤さん、原田さんはいかがですか。
西澤:鈴木さんは時短の状況ながら大きなフォローは必要なく、プロジェクトを完遂しています。週次のレポートを確認しつつ、定期的な1on1で状況をヒアリングしていた感じです。
原田:私も林さんとはレポートを媒介に定期的な1on1でコミュニケーションを取っていました。フォローというよりは、とにかく学びを定期的に共有して、組織に還元して欲しいと伝えていましたね。
実際、side project終了後に、全国のメンバーを集めた会議で、林さんを含めた参加者に気付きやマインド面での変化をプレゼンしてもらいました。また、越境先のベンチャー企業の方にもお話をしていただくなど、学びを深める機会にもなりました。
ーー実際に、side projectを通じてご本人や組織に変化はありましたか。
白井:いくつもありました。谷口さんはサステナブル領域での学びや知見を組織に持ち帰り、新しい取り組みをしてくれています。サステナ部門と会話をして課題感の洗い出しをしたり、サステナ関連のプロジェクトに応募して参加したり。自ら越境して新しいプロジェクトに乗り込むチャレンジ精神は、当社の組織風土の改善につながっていると感じています。
私たちが在籍する経営企画部プロジェクト推進グループでは、全社横断型のプロジェクトのプロジェクトマネジメントをしています。難易度の高いプロジェクトもありますが、そこでの振る舞いを見ていても、コミュニケーションの質が確実にアップしていて成長を感じます。リーダーシップも以前にも増して発揮していただいているので、とても頼もしいです。
ーーside projectが終わった後も、自ら越境し続け、周りに刺激を与える。理想的な動き方だと感じます。原田さんはいかがでしょうか。
原田:林さんの場合、越境して一番インパクトがあったのはスピード感だと言っていました。実際、100でなくていい、80の完成度でいいから前に進める。動きながら考えるといったスピード感は、私から見てもだいぶ変わったと思います。
あとはside projectで日々、経営者の方とコミュニケーションを取っていたので、経営者視点を身につけられたのは大きな収穫だったようです。「1」をやるときも、その先の「100」や「1000」、スケール感をすごく意識するようになったと。私たちの部署では経営者と話をする機会が多いので、経営者がどんな思考プロセスを踏んでいるのか、ご自身の経験を皆に共有してくれました。
あとはやはり時間の使い方ですね。限られた時間でさらに仕事が増えたので、取捨選択をしてメリハリつけられるようになっています。林さんの話を聞いて、時間の使い方を考え直したメンバーもいます。
ーーご本人の成長はもちろん、組織への還元や影響力の大きさが伝わってきます。西澤さんもやはり変化を感じていますか。
西澤:side projectは、ベンチャー企業とマッチングすることで、参加することができます。鈴木さんはベンチャーに対して、自分の強みをうまくプレゼンできないことに課題意識をお持ちでした。ところが「外に出たことで自分の強みがわかった」「サッポロビールで日常的に行っている調整力にこそ強みがあると気づいた」と話していました。
また、鈴木さんは元々、色々なことにチャレンジする方です。昨年はソムリエ試験に合格したりと、毎年何かしら新しいことに挑戦しています。そんな鈴木さんが時短でありながらside projectにも挑戦する姿を見て、部署内に挑戦の風土が生まれつつあると感じています。あるメンバーは、社内の副業制度に応募して取り組みを始めたりと、鈴木さんを見習ってチャレンジしようという空気が広がっているのは嬉しいことです。
メンバーの頑張りが教えてくれた、
一歩踏み出してみることの価値
ーー参加者ご自身が成長しながら、その様子を見た周囲にも影響の輪が広がっているようですね。上司である皆さんが影響を受けたことや、気付きはありましたか。
白井:やはり、一番大きかったのは時間の使い方ですね。自己のスキル開発や、新たな一歩ってなかなか踏み出せないものだと思います。でもそれも時間の使い方次第で、「忙しい」は言い訳にしかならないんだな、と。
一歩踏み出せば新しい人との出会いがあって、新しい領域に触れて学びが広がり、それが社会への貢献に繋がる。自分自身の人生を豊かにすることにも繋がると改めて感じました。
西澤:私の気付きも白井さんと近しくて、改めて私自身も何かやらなきゃなという気持ちにさせてもらいました。
あとは鈴木さんのレポートを読むのが、回を追うごとに楽しくなってきて。他社ってこんな感じなんだとか、こんな動き方をしているんだとか。意思決定にこんなやり方があったのかとか。色々なやり方があるのだと再認識しました。サッポロビールのあたり前をあたり前と決めつけないで、もっと広い視野で考えた方がいいというのは私にとっても気付きでした。
原田:私が感じたのは、スピード感や新しいチャレンジの大切さを日々伝えている「つもり」になっていたのではないか、ということ。林さんが経験談としてその大切さを語る様子を見て、まだまだ私の自己満足で、しっかりと伝わりきっていないことを痛感させられました。
あと個人的には、参加者の林さんが時にしんどそうにしながらも、とても楽しそうに仕事をしている様子が印象的でしたね。
業務の20%だから、現業と同時並行が可能
キャリアにもプラスになる
ーー改めて、side projectの良さを、どのような点に感じていますか。
白井:20%って絶妙ですよね(笑)。10%だと少ないけど、30%はちょっと重い。20%なら手を挙げてみようかなと思えるし、そのリソースがあるのなら外に出て新しい領域について学び、経験をすることには大きな意味があると思います。それが自分のためにもなるし、お世話になった企業のためにもなるし、サッポロビールのためにもなる。全員がwin-win-winになれます。
原田:確かに、フルコミットではないからこその良さはありますよね。時間の使い方やリソース配分をすごく意識するようになりますし、同時並行で2社の仕事を行き来することで、両者の違いにより鮮明に気づくようになる。
また、先方に行きっぱなしではないので、学びや気づきをすぐ自社に共有・展開してもらえる点もありがたいと思います。
西澤:おっしゃる通り、現業と同時並行できるので、自分さえちょっと頑張れば挑戦できるのがside projectの良さだと思います。チャレンジのハードルが低く設定されていると思いますので、是非多くの方に参加して欲しいですね。
ーー貴社では今後も引き続き参加者を募集していくとのことですが、どういう方に挑戦して欲しいですか。
原田:どんな人でも、参加をすることでその人なりの気付きや学びがあるはずです。長く同じ組織にいたり、同じ業務をしている方が参加すると、より気づきが多いと思います。そういう方には、是非参加して欲しいですね。
西澤:私がおすすめしたいのは、もっと良くしたい、改善したいという前向きな方です。逆に与えられたものをこなす受身なスタンスの方だと、途中で苦しくなるかもしれません。
白井:今後のキャリアパスに迷いが生じている方にもおすすめです。side projectでは、参加前に自身の過去・現在・未来を整理して、WILLやCANを再確認するワークもあります。その上で、WILLを活かしたマッチングが可能です。実際の業務を経験できるので、ご自身のキャリア形成にも役立つのではないでしょうか。
越境経験で「サッポロビールのあたり前」を壊して欲しい
ーー今後、side project参加者に期待することは何でしょうか。また、越境経験者が増えると、組織にどんな変化がありそうですか。
白井:現状に安住することなく、自ら進んで越境をするチャレンジ精神、課題の本質にいち早く目をつけて解決をするスピード感には今後も期待しています。こうした越境人材が社内に増えることで、組織力が向上し、会社を強くすることにつながると思います。
原田:越境経験者が増えると、「サッポロビールのあたり前」を壊すきっかけになると思います。外を経験することで自身や組織、会社を客観視できるようになる。「うちの会社ってここまでやってくれるんだ」と感謝の気持ちが芽生えたり、逆に課題に気づきやすくなると感じています。越境経験をきっかけに新商品が生まれたら最高ですね。
西澤:越境経験から生まれた新商品。理想ですね。越境経験者の一人が違和感を感じたとしても、状況を変えるのはなかなか難しいものがあります。でもそういう人たちが複数集まって、変えようと声をあげれば、一気に現場が変わる可能性がある。越境経験者を継続的に増やすことは、サッポロビールにとって、大きな意味をもたらすと思います。
何のリスクもなく、違う会社を体験できるなんて、こんな素晴らしいシステムはありません。私自身が羨ましいなと思いながら話を聞いていました(笑)。日常業務が滞るようなことがあれば、私たち上司や周りがしっかりサポートするので、是非多くの方に参加して欲しいですね。
Fin