【はみだしのすすめ】「狭い世界でクスリと笑えるくらいの”はみだし”がちょうどいい」森新さん
組織で働く人の”はみだし”を研究している、「4th place lab」の小林こず恵です。「4th place lab」では、「組織からとびだすのではなく、はみだそう」をテーマに、「はみだしの実験」を行っています。
その一環で月に1回、はみだしながらやりたいことをカタチにされてきた方々に登壇していただき、はみだしのヒントを伺うオープンイベントを開催。今回は10月にご登壇いただいた森新さん(@mori_arata)による、「はみだしのすすめ」をご紹介します。
【はみだしのすすめ #01】
普段自分が接している人の困りごとを解決する
森さんの「Outlook研究家」「ショートカット研究家」のはじまりはどこにあったのでしょうか。
「人事部門にいた頃、周りの人のパソコンの処理スピードの違いびっくりしたことがありました。とある作業に対して、早い人は30秒で終わるのに遅い人は12分経っても終わらない。この、信じられないくらい生産性が違うという事実を目撃してしまったんです(笑)。人事という立場で見て見ぬ振りをしてはいけないと思い、自分がこの改善をやろうと。それが本当の初めの一歩でした」
では、「何からはじめようか、何を改善しようか...」。パソコンの処理といっても色々あるわけです。森さんのセグメントはこうでした。
「Excel、PowerPoint……。処理スピードを上げた方がいいツールは色々あるのですが、新入社員から社長まで使っているものにしようと、メールソフト(Outlook)とキーボードに絞りました。地味だけど周りの人たちが絶対に使うものがいいなと。それに、正直、自分がやらなければ誰もやらないだろうなぁとも考えていて。それは使命感みたいなカッコいいものじゃなくて、こんなニッチなこと、誰もしょうもないと思ってやらないんじゃないかなって(笑)」
【はみだしのすすめ #02】
逆営業してみる
そうして始まった森さんのちいさな活動は、瞬く間に社内で広がりました。
「まずは自分のいた部門で講座を開いて、それから違う部門でもやるようになりました。そうこうしているうちに、『社外でも教えたら?』なんて言ってもらえるようになったりして、外でも活動を始めました。その頃、Excelの先生は話題になっていたのですが、Outlookの先生は探しても見つからなかったんですね。なので、自分がなろうかなって腹決めしました」
Outlookの先生になることを決めた森さん。決めたからといってすぐにできるものでしょうか。社外でのはじめの一歩とは?
「ストアカさん(ストリートアカデミー)での活動が最初でした。実は、たまたまストアカさん側から、人事部の僕に、ストアカの研修を社内に入れませんか? って提案があったんですね。なので、『僕の講座を入れませんか』って逆営業してみました(笑)」
【はみだしのすすめ #03】
「◯◯研究家」と名乗ってみる
逆営業から、ストリートアカデミーでOutlookの先生として活動を始めた森さん。今から約4年前のことでした。活動を始めると同時に森さんが決めたこと。それはあたらしい肩書きでした。
「社外での活動を機に、『Outlook研究家』『ショートカット研究家』と名乗りました。何者なのかって、人が人に紹介するときにすごく大事になってきますし、名乗ることで、意志がこもるというか。副業でお金をいただくフェーズに入ったので、そうした決意でもあります。また、”研究家”と名付けたのも、専門家や教授は人からの評価や指名してもらうものだけど、研究家なら自分でつけられますから」
【はみだしのすすめ #04】
企画書を試しに持ち込んでみる
それから半年くらい経った頃、森さんは未経験の出版企画書づくりを始めます。もともと出版したいという構想はあったそう。
「最初から出版するとは決めていました。幼い頃から父親の書斎に1冊くらい自分の本を並べてみたいなというのが何となくあったのと、名刺代わりになるしいいなと。ただ、このタイミングで出版したいと思ったのは、『本業を大事にしたい』というのも大きかった。ありがたいことに、多くの講座のオファをいただき、このままだと時間がなくなって本業が破綻するかもしれないって。ただ、僕が忙しいという理由で困っている方々を救えないのは良くないことだと思っていたので、本にすれば、少しは役に立てるんじゃないかと思いました」
出版の背景が、自らのコンテンツを広めたいというよりも、困っている人に手を差し伸べたい、本業を大事にしたいというところにも、真摯な森さんの人柄が現れています。
「出版企画書なんて作ったことないですけど、とりあえず、3社くらいに飛び込みで送ってみたんです。そうしたら3社とも出したいと言ってくださいました。はじめてですけど、そこに怖いとかはなくて。仮に断られたとしても、出版して売れなかったとしても、失うものは大きくないですから」
【はみだしのすすめ #05】
うまくいかなかったらすぐ手を引く
こうしてはみだし続けた結果、数々の実績を積み上げてきた森さん。そんな森さんですが、すべてがうまくいったわけではなく、失敗もあったといいます。
「失敗したことはめちゃくちゃありますよ。ただ、うまくいかなかったら粘らずすぐにやめる。他のことをするという風に決めてやってきました。本業だと簡単にやめることはできませんよね。やっぱりすぐにやめられるのが、副業や社外活動の強みなので、いろんな方向性を掘ってみる、探ってみることを楽しんでます。だからダイナミックにやめてみる、というのも大事なんじゃないかと」
【はみだしのすすめ #06】
本業とは全然違う領域にはみだしてみる
ここからは、はみだしの方向性やテーマを決める上で大事なことを伺いました。
「僕は『ふりこ』って言ってるんですが、本業とはなるべく遠いところのテーマでやってみた方がいいと思ってます。たとえば、本業でマンションの仲介をしている人が、個人でも同じようなことをしようと思うと、スキルをスライドさせてすぐに仕事になるかもしれませんが、顧客を食い合うだけだし、幅も広がらない。なるべく遠いところの領域のことをやってみたほうが、振り幅が大きいので、視野も広がり、できることも増えて本業にもいい影響を及ぼすことになります」
だからといって森さんは大きなアクションを促しているわけではありません。無理なくできる小さなことからはじめることを推奨しています。
「たとえば、僕みたいに、身近な人に何かを教えるというのは、原価がかからないからいいと思います。人に教えることで自分も成長しますから。あとは、副業においては、人と人の繋がりで広がる部分もかなり大きいですから、教えるという行為を通じて人脈が広がっていくのもいいことですよね」
【はみだしのすすめ #07】
狭い世界でクスリと笑えるくらいの”はみだし”がちょうどいい
では、仮に”教える”となった場合、テーマはどのように見つけたらいいのでしょうか。はみだし#01でも紹介した「普段自分が接している人の困りごとを解決する」以外に、ポイントはあるのでしょうか。
「ちょっとくだらないくらいのテーマでいいんじゃないかなって。僕は、竹とんぼを作って飛距離で競う大会で優勝しているんですが(笑)、じゃあ、親子に向けて教えてみようかなとか、そうした展開が考えられるわけです。たとえば、料理が得意で特にロールキャベツ作りが得意なんて人は、ロールキャベツづくりを教えてみるとか、自分で大会を開いてみるとか。そうやって、狭い世界でクスッと笑えるくらいのことからはじめるくらいがちょうどいいと思います。肩肘張らずにはじめてみてください」
提供:4th place lab 文:小林こず恵
【森 新さん Profile】
【次回オープンイベントご案内】
11月16日開催:「会社を辞めずに『好きなこと』でムーブメントをつくるには?」サウナキャンプ主催:大西洋さん
【「4th place lab」 第3期生を募集中】
「4th place lab」は、はみだして、ためそう。をコンセプトに活動する、はみだしの実験室です。当日は本プロジェクトの雰囲気を体験してもらえる簡単なワークもご用意しています。現在、第3期生を募集中です。
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