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失敗=ナイス学び! 恐れず挑戦すると人生が開ける【レンタル移籍者×経営者 特別対談】

ラジオ番組「森清華のLife is the journey※」にて、月に1度、レンタル移籍者および移籍先のベンチャー企業経営者をゲストに迎えた放送が行われています。第2回目の放送では、大鵬薬品工業株式会社の大西順子(おおにし・じゅんこ)さんと、株式会社nana music COOの細野真悟(ほその・しんご)さんをゲストに迎え、レンタル移籍での経験や、リスナーへのメッセージを語ってもらいました。

※ 毎週水曜 午後9:00から、かわさきエフエム(71.9MHz)にて放送中。企業経営者や各界のスペシャリストなどをゲストに迎え、これからのキャリアや生き方に迷い考える、特に20代後半・30〜40代のビジネスパーソンに対し、一歩踏み出すための背中を押すことが目的の番組。番組自体は今回で161回目。ローンディールの仕組みを利用してレンタル移籍を行った移籍者と移籍先の経営者をゲストに迎える回は、月に1回の頻度で放送予定。パーソナリティーの森清華は、ローンディールのメンターとしても活躍中。

本記事では、当日の放送内容のダイジェストをお届けします。なお、当日の番組アーカイブも、podcastで聞くことができます。

ー薬品会社の社長室から、音楽コラボアプリ開発ベンチャーへ

森さん:まずは細野さん、nana musicとはどのような事業をされているのでしょうか?

細野さん:スマホでつながる音楽コラボアプリを提供しています。簡単に言うと、90秒の音のTwitterです。ギタリストやピアニストに伴奏を投稿いただき、それに対して歌い手の方々が歌っていって、コラボをすると。さらにそこにハモリの人が重ねたり、ギターの人が重ねたり、ボイパの人が重ねたりとうことで、会ったことのない方々が、オンライン上でセッションができると。そういうコラボアプリを提供しています。

森さん:音楽でコラボするんですね。まさに音でつながっていくと。

細野さん:そうですね。会ったこともない方々が、同じ音楽を奏でることで出会っていく。

森さん:このサービスはどのくらい利用者の方がいらっしゃるのでしょうか。

細野さん:7年ほど運営して、全世界で800万ダウンロードというところまで、ようやくきています。

森さん:このサービスは、世界を探してもどこにもないと?

細野さん:そうですね。カラオケアプリですかって言われるんですが、そうではなく、音を通じて人々がつながっていくアプリです。Twitterが世界にTwitterしかないように、音楽でいうとnanaしかないというサービスだと思ってやっています。

森さん:そんなnana music社へレンタル移籍された大西さんですが、久しぶりのオフィスはいかがですか?

大西さん:入った瞬間、ちょっと胸がキュンとなりました。いろんな思いが……。

森さん:蘇ってきたんですね。現在、大西さんはストラテジックコミュニケーション室に所属をされているそうですが、どのような仕事なのでしょうか。

大西さん:わかりにくい名前なんですが、簡単にいってしまうと広報です。従来の広報、例えばプレスリリースや取材だけではなく、社内向けの発信、インターナルコミュニケーションや新しいイベントを考えていくという部署です。

森さん:大西さんは2018年2月から8月まで、半年間移籍をされたそうですが、移籍前は今の部署ではなく、社長室に所属をされていたんですね。

大西さん:そうです。社長室は新しくできた部署で、新規事業を行う部署でした。

森さん:とても大きな組織だと思うのですが、その中でも社長室……社長との距離はどんな感じなんでしょうか。

大西さん:物理的には同じフロアの隣の部屋で、社長が時々いきなりバッとドアを開けて入ってくるので、みんなびっくりすることがあったり(笑)。とてもフランクな社長で、距離は近かったと思います。

ー音楽への愛を持ち、マネタイズにもがくベンチャーに飛び込んで……

森さん:そのような中で、なぜレンタル移籍に挑もうと思われんたんですか?

大西さん:社長室が新しくできて配属されて、最初に言われたのが、製薬企業としてそれまでやってきた薬の開発以外で新しいビジネスを考えて、ということでした。新しいことをするにあたって、恥ずかしながら動き方がわからずに悶々としていたところに、イノベーション人材を作るプログラムとしてレンタル移籍に1人行かせてみようという話がありました。
その時に社長が大西さん行ってみる?となり、このままじゃ自分はだめだなって感じていたところがあったので、即答で行かせてくださいってお願いしました。

森さん:レンタル移籍は、決まる前に面談があるということなんですが、実際に面談に行かれていかがでしたか?

大西さん:何社か面談をさせていただき、それぞれ魅力的な会社ではあったんですが、中でもnanaで細野さんとお話をして、nanaで一緒に働かせていただきたいなと思い、アタックして……ブロックされました(笑)

森さん:ブロックですか!?(笑)

細野さん:ブロックという言葉が出ましたね(笑)

森さん:細野さん、一体何があったんですか?

細野さん:彼女は過去に音楽をやっていて、面談の時に、音楽に対するアツい思いとか、nanaのサービスが素晴らしいということを熱く語っていただいたんです。でも、ローンディールの仕組みとしては、大鵬薬品に戻った後にどんなことがしたいのか、どんな力をnanaで身につけて戻りたいのかをプレゼンしてほしかったんです。でも、それがなく、nanaへの愛を蕩々と語られたので、これではどんな仕事をしてもらったらいいかわからないということで、お断りをしたというのをおそらく「ブロック」と表現をしているのかと思います。正当なお断りでございます(笑)

森さん:大西さんはブロックされてもまた再アタックされたんですね?

大西さん:再アタックしました。1回、再アタックしないと絶対に後悔すると思いまして。2回目にふられたらしょうがないなと思ったんですけど。

森さん:2回目は?

細野さん:2回目は、より強い愛を伝えてきたっていう(笑)。フィードバックがまったく伝わっていなくて。ただ、これだけまっすぐぶつかってくるエネルギーがあれば、突っ走ってくれるのではないかなという期待もあり、受け入れて一緒に仕事をすることになりました。

森さん:細野さんはnana musicに参画される前は、リクルートで企画というキャリアを積まれ、リクナビNEXTの編集長や、リクルートキャリアの執行役員も務められていたそうなのですが、なぜnana musicへの参画を決めたのですか?

細野さん:聞いてくれるんですね?(笑)7年前にnanaのアプリがリリースされた時に、たまたまニュースで知ったのですが、もともと歌が好きで、ハモリが好きだったので、試しに使ってみたらめちゃめちゃハマったんです。このサービスが続いて欲しいなと思ったのですが、全く儲っていなさそうだったので、ユーザーとしてマネタイズを考えて色々とアドバイスとかしてたんです。いよいよヤバイ、立て直さなきゃという時に、リクルートキャリアを辞めて、次にどこ行こうか考えていたので、ユーザーだけれど思いっきり飛び込もうと思い、参画したという経緯です。

森さん:リクルート時代での事業開発と、nanaでの取り組み、どんな共通点あるいは違いがあったのでしょうか。

細野さん:実験をして、うまくいったら広げていくという仕事の仕方は変わらないんですけど、BtoBからBtoC、要は直接ユーザーからお金をいただくというビジネスになったので、単価もそんなに高くなく、多くの方からいただかなければならないというところは違いましたね。これまでのやり方では思うように成果が出なかったりと、ものすごく苦しみ続けた2年間という感じです。

森さん:マネタイズに向けて苦しみ続けたわけですね。そういう状況の中で大西さんは移籍という形で飛び込まれたと。実際に移籍をしてみて、どんな壁があったのでしょうか。

大西さん:壁……ですか。壁ばかりだった気がします。先ほど細野さんがおっしゃっていたように、苦しんでいた中の半年間を一緒に苦しみもがいたので。マネタイズという壁はずっとあったんですけれども、私自身の壁としては、発想力ですかね。業界特性もあるかもしれませんが、もともと製薬企業の中では、楽しいことを考えるという機会がなくて。どちらかというと、生命関連だから、真剣に、真面目に。それに対して、ちょっとしたことをどう楽しく、面白く広げていくかという考え方なので、その考え方に慣れるのに少し時間がかかりました。

細野さん:めちゃくちゃ真面目でしたね。

大西さん:今も真面目ですけどね(笑)

細野さん:真面目か! かったいな〜って感じでした。

大西さん:堅い、それも一つの課題として、レンタル移籍にチャレンジしました。

細野さん:大鵬さんの中でもさらに堅いひとをよこすっていう……なんてことしてくれるんだと(笑)。

大西さん:石橋を叩いて割る。でも結局渡れないみたいな感じでした。

ーターニングポイントは「失敗もナイス学び」という気づきとユーザーとの出会い

森さん:堅かったという大西さんは、どうやってほぐれていったのでしょうか。

大西さん:いい質問ありがとうございます(笑)。細野さんと実験をしながらマネタイズの方法を探っている中で、まあまあ失敗をするんですけれど、思ったような結果が出なかった時に出てくるコメントが、「失敗ではなくてナイス学び」でした。その学びを生かして次に何をしようかというコメントをいつもいただいてたので、それで物事の受け止め方が変わっていったというところがありました。

森さん:失敗ではなく、学びなんだっていうことなんですね。細野さんから見て、大西さんが変わったなと思う分岐点ってどんな場面だったのでしょうか。

細野さん:来た当初は、自分のノート上に、こうしたらいいんじゃないかというアイディアを書き留めて、定期的に僕の時間をとって、こんなのどうでしょうかってぶつけてきました。でも、自分の経験とか、机上で考えたアイディアだったりするので、気持ちがノッテいなかったんですけれど、ある時ユーザーのオフ会のようなイベントがあって、そこに一緒に行ってもらったんです。そこでユーザーの顔を見て、一緒に交わってもらって、そこで思っていたアイディアをユーザーにぶつけてみて、ヒアリングもして、ということを積極的にするようになってからは、こういう人たちがユーザーなんだとか、こういう喜びを得ているという手応えを明らかに感じて。そこからはアイディアが具体的になって、「あ、それは面白いかもね」って僕がポロッと言ってしまうアイディアを言うようになった、というのが分岐点ですかね。

森さん:実際に大西さんはユーザーと話をされて、どんなことを感じたのでしょうか。

大西さん:実際にサービスを使ってくださっているユーザーさんが楽しそうにしているのを見ていると、自分たちの会社が提供している価値を実感できるというか。その中で、ユーザーさんの行動みたいなのが変わってきたんです。例えば、はじめシャイだった方が一緒に歌ったり、他のユーザーさんとコミュニケーションをとるようになっていくというようなところを目撃していく中でモチベーションがガッとあがりました。

森さん:結びついたというか、実感されたということなんですね。

大西さん:何か考えるにあたっても、そのユーザーさんたちの顔がパッと浮かぶようになった。あとは現場を見ないとわからないことがあるなと感じました。

森さん:現場、そしてそれを使っているユーザーの方ですね。

大西さん:そうです、実際の声を聞くということですね。

森さん:細野さん、そういう大西さんの変化がnanaという組織にとってどんな影響をもたらしたと思いますか?

細野さん:nana自体は、アプリの会社なので、エンジニアも多いですし、明るくて前向きというか、おしゃべり好きなキャラクターの人がそんなにいなくて。そこに大西さんという一滴が落とされ、がむしゃらに動いていた。半年間という期間でなんとか成果を出さなきゃいけない、成長したいという強いモチベーションの人が入ったので、最初は異物感というか、なんだこの人みたいな感じでみんな見てたんですけど。

大西さん:そうだったんですか(笑)

細野さん:ただ、ユーザーと触れ合って、本当に火がついた様子をみると、nanaのメンバーも、大西さんのやりたいことを手伝おうとしてくれるようになり、だんだん仲も良くなって、成果というか実験が成功するというところに繋がるなと見ていました。

大西さん:基本、優しい方々がすごく多くて。

細野さん:ありがとうございます。

森さん:いま移籍を終えて振り返っていくと、その時の経験というのは今の仕事にどう活かされていると感じますか?

大西さん:先ほども話が出たと思いますが、何か新しいことをする時に失敗するということ、もちろん失敗はしたくないんですけれども、そういったものへの恐怖感みたいなものが昔よりも少なくなった感じがします。まずは一歩を踏み出してみよう、誰かに相談してみようみたいな。そうすると意外と賛同してくれる人がいてくれたりして、少しずつ前に進めるようになったと思います。

森さん:そうして行動に移っていったと。細野さん、そんな大西さんの姿を見て、どんなことを思いますか?

細野さん:今の話を聞いて泣きそうなんですけどね。来た時は、自分でも言うように、頭でっかち、頭で考えちゃって足が出ないっていう課題を抱えていて。どんな人をレンタル移籍でよこすんだと思ったんですけど(笑)、でも半年間一緒に伴走する中で、失敗を恐れずに実験をしてみるとか、周りの人に相談してみるという癖はついたんじゃないかなと思っていたので、今聞いて、すごくよかったなと改めて思いました。

森さん:最後に、これから自分の夢を叶えようとしている方々へ、背中を押すメッセージをお願いします。では、細野さん。

細野さん:最近知った言葉なんですが、「サードドア」という言葉がすごく素敵だなと思っていまして。第1のドアというのが正面の入り口。多くの人が行列をなして並ぶ道。生き方。第2のドアというのは裕福な家や名家に生まれた方々が、特別なコネを使って生きる生き方。第3のドアというのが裏道。例えば今回レンタル移籍をしてみて、普段と違う行動、大胆な行動をすることで人生が開けていくと。普通ならやってみないようなことをすることで人生が開いていくと、いう言葉が最近すごく好きで。皆さんもサードドアをこじあけて、歩いていかれたらいいかなと思います。

森さん:ありがとうございます。では、大西さんお願いします。

大西さん:夢をお持ちだということ、それ自体が素晴らしいですし、例えばその夢が途中で途切れても、あるいは変わったとしても、それに向かって費やした努力というのは無駄にはならない。後の自分を助けてくれるものだと思いますので、一緒に頑張りましょう。

森さん:そうですね。一緒にサードドアを開けましょう。

大西さん:今日もいい言葉をいただきました(笑)

細野さん:いま言ったら一番かっこいい言葉かなと思って(笑)。皆さんもお使いください。(笑)

森さん:そうですね。皆で歩んでいきましょう。素敵なメッセージをありがとうございました。やってきたこと全て無駄なものはない。失敗ではなく、学び。移籍を終えた大西さんのその姿は、挑戦することを楽しんでいるように映ります。音楽を通じて人をつながり、楽しみ方、遊び方を自ら創造していくnanaユーザーのカルチャーが浸透している。私にはそう感じました。

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リスナーへのメッセージを色紙に込めて。
写真左から時計回りに 株式会社nana musicの細野真悟さん、大鵬薬品工業株式会社の大西順子さん、パーソナリティの森清華さん。

レンタル移籍者と移籍先の経営者をゲストに迎えた「森清華のLife is the journey」、次回の放送は12月4日(水)を予定しています。スマートフォンのインターネットラジオアプリ「Listen Radio(リスラジ)」をダウンロードして、「ジャンルから選ぶ」を選択→「カテゴリ」を選択→「全国のラジオ局」を選択→「かわさきエフエム」を選択して聞くことができます。放送終了後には今回の放送と同様、podcast配信情報もお知らせします。次回もお楽しみに。

▼過去の放送ダイジェスト
第1回:強い価値観は組織の推進力に繋がる【レンタル移籍者 × ベンチャー経営者 特別対談】(アステラス製薬株式会社 神田直幸さん × 600株式会社 久保渓さん)

END

【お知らせ】

2019年11月13日には、社員のキャリア形成と組織のイノベーションを促進する仕組みとしても注目を集めている「レンタル移籍」の仕組みや特長について、具体的な導入事例を交えてご紹介するイベントを開催いたします。

◇イベント情報の詳細
「社員のキャリア形成と組織のイノベーションを促進する「レンタル移籍」とは?」
日程:
2019年11月13日(水)
時間:15:30~17:00 講演・質疑応答 ※15:15〜開場
会場:Base Q (東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷6F)
対象:大企業の人事・人材開発部門の方、ならびに新規事業開発・イノベーション推進部門の方
定員:40名
参加費:無料
お申し込み:こちらよりお申込みください

【 レンタル移籍とは? 】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2016年のサービス開始以降、計29社68名以上のレンタル移籍が行なわれている(※2019年10月実績)。→ お問い合わせ・詳細はこちら

協力:株式会社nana music  / 大鵬薬品工業株式会社
Report:黒木瑛子
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

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