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【第1章 プロフェッショナルを目指して、 NTT西日本からベンチャーへ】「流れ星」を売る男 〜早くプロフェッショナルの一員になりたい〜


世の中を支えたい!

「流れ星を最後に見たのは、確か小学生の頃だったなぁ」

梶原浩紀(かじはらひろき)は、人工流れ星を流す宇宙ベンチャー、株式会社ALEのビジョンを聞きながらそう思った。まさか通信業界で働く自分が、宇宙産業に関わるなんて思ってもみなかった。


数ヶ月前のこと。
梶原の勤務先であるNTT西日本で「レンタル移籍」の第2回目の募集があった。

梶原はすぐに立候補した。
「レンタル移籍」のことは前々から知っていた。移籍経験のある先輩が身近にいたからである。
「一定期間、ベンチャー企業で事業開発を経験できる」という話を聞き、面白そうだなぁと思っていた。思ってはいたものの、興味レベルだった。

しかし、今は迷わず自分が行くことを選択。
それは、このまま何者でもない自分でいることに耐えられなかったからだ。


梶原は、学生時代から班長やリーダーを務めることが多かった。
決して目立つタイプではなかったが、人の支えになりたいという想いが人一倍強く、陰で周囲をサポートする姿勢が評価されていた。

だから、就職先を選ぶ時も、「社会のインフラを作ることで世の中を支えたい!」という強い想いを抱き、NTT西日本に入社。
迷いはなかった。

自分はこの場所で何ができるんだろう

入社後は、総合職として様々な業務を経験することになる。

中小企業向けにビジネスフォンやコピー機の販売から始まり、フレッツ光の代理店向けのサービス提供、公衆無線LANのサービス開発など、経験業務は多岐にわたる。

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「フレッツ光」の代理店向けのサービス提供をしていた頃の写真

そして最近、ビジネスデザイン部という、新しいサービスを開拓する部署に異動になった。この部署のミッションは、新たな成長ビジネスの創出である。

梶原が「レンタル移籍」に立候補したのは、この部署の取り組みで参加した「スタートアップファクトリー」がきっかけだった。

このプロジェクトは、アクセラレータープログラムの一環で、外部企業とNTT西日本のメンバーでプロジェクトを立案し、採択されるとプロジェクトに予算がつくという仕組み。

梶原は採択を目指して、懸命に取り組んだ。

しかし———、
梶原のプロジェクトは一次審査であっけなく落選。悔しくて悲しかった。
自分に力がないことに愕然とした。

「NTT西日本で世の中の生活を支える事業がしたい!」

そう思って入社し、常に与えられた仕事に懸命に取り組んできた。そして、目の前にやってきた大きなチャンス。しかし実力不足で逃してしまった。

「自分はこの場所で何ができるんだろうか……」

総合職として採用されて数年が経ち、様々な業務を経験。
ジェネラリストとしての力は身についたと思う。しかし、スペシャリストとして何かできるわけではない。

「あなたは何ができますか?」と聞かれても、何もできない……としか言えない、そんな自分にがっかりした。

そんな矢先に、「レンタル移籍」の第2回目の募集があった。
梶原は迷わず手を挙げ、気付いたらエントリーシートを書いていた。

「人工流れ星」に決めた

それから間もなくして、梶原の「レンタル移籍」が正式に採択された。
梶原の目の前に、移籍先のベンチャー企業の候補がずらり並べられる。

「どこに行ったら一番力がつくんだろうか……」

真面目な梶原は、候補企業のページを端から端までくまなくチェックし、代表者のブログやSNSも全部見た。
その結果、選んだのは、株式会社ALEだった。

梶原が選んだ理由は2つある。
ひとつは、「人工流れ星」というまだ世の中にない、これから作り上げていくプロダクトだということ。未開拓という部分に大きな魅力を感じた。もうひとつの決め手は、岡島社長の流れ星ビジネスに対するビジョンや熱量。
その熱い想いに心打たれた梶原は、即断した。

それからというもの、移籍当日までは、岡島社長に教えてもらった、宇宙ビジネス関連の本を読んで過ごした。
もともと宇宙ビジネスに強い興味があって決めたわけではないので、
「情報通信産業から宇宙ビジネスに携わって、果たして役に立てることはあるのだろうか……」楽しみよりも不安が増す。

しかし、本や情報を通じて、宇宙ビジネスを知れば知るほど、これからの産業だということがわかり、そこに携われる喜びも日々大きくなっていった。

そんな期待と不安が入り混じる中、移籍当日を迎える———。

—プロ集団に囲まれて自信喪失

株式会社ALEは社員数10人ほどの会社で内数名が外国人。
社内では英語が飛び交い、英語に自信が持てない梶原はそれだけで緊張した。

しかしこの後、更に大きなショックを受けることになる。
初日、まずはALEの社員から梶原に自己紹介があった。

梶原の中で、ベンチャー起業の社員は、勢いがある若手が多いイメージだった。しかしALEの社員は、元々、商社やメーカー、コンサルファームなどを経験した、強いバックグラウンドを持ったスペシャリストばかりだったのだ。

彼らの自己紹介を聞きながら、ふと、好きな映画「アベンジャーズ」シリーズを思い出した。梶原から見て、彼らはアベンジャーズそのものだった。

ひとりでも何かしらの特殊能力を使って戦うことができ、集団になるとより強くなる、そんな印象だった。

「僕はこのアベンジャーズの足手まといにならないだろうか……」
夢に溢れる宇宙ビジネスの現場で、梶原はそればかりが気がかりだった。


→ 第2章「何者になりたいのか」へ続く


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取材協力:西日本電信電話株式会社、株式会社ALE
storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール 
http://loandeal.jp/


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