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人事の挑戦「会社の持続的な成長と発展のために」大和ライフネクスト

 マンション、ビル、ホテルなどの総合不動産管理を行う大和ライフネクスト株式会社。「LEAD NEXTYLE(リード ネクスタイル)」をビジョンに掲げ、まだ世の中にない新しいサービスを生み出していくチャレンジングな企業である。挑戦し続ける同社は、次世代人材の育成にも力を入れている。 
 その一環で「レンタル移籍」を導入したのが2019年4月。今年も新たに2名がベンチャーへ行き、導入以降、合計3名を移籍させた。人材がベンチャーへ行くことが、なぜ、次世代人材の育成になるのだろうか。導入担当者である人事部の竹下春樹さんと、今年から担当者として加わった佐々木健太さんにお話を伺った。

生半可な気持ちでは挑めない中で

ーーレンタル移籍を導入されてからもうすぐ2年。すでに3名がレンタル移籍を終え、帰任されていますね。そもそも、なぜレンタル移籍を導入されたのでしょうか?

竹下:以前より、次世代人材を生み出していくことが課題としてありました。これからの会社を牽引していく人材が必要だと。弊社は不動産管理を主とする業態です。今後、必ずしもマーケットが大きくなっていくばかりではないという状況の中で、今までの規定路線ではいけないという危機感を持っていました。だからといって、価値創造や変革を生み出すための経験が社内だけで得られるわけではない。外の、しかもベンチャーという環境の中で経験をしてもらうことがいいんじゃないかなと。

 それに若手人材からは、自分たちの市場価値を高めていきたいという声も上がっていました。ずっと同じ業界同じ会社にいると、自分を高めることに手応えが掴めないようで。だからといってすぐに社内ベンチャーのような動きができるわけでもない。そういった中で、ベンチャー企業なら、彼らが求めているチャレンジを叶えてあげられるんじゃないかと考えました。

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人事部 人事課 課長 竹下春樹さん


佐々木:若手にとって、レンタル移籍はかなり魅力だと思っています。僕は今年からレンタル移籍に関わるようになったのですが、今までは新卒・中途採用をやってきた中で、学生や候補者などに対して、魅力付けの一つとして語っていたくらいです。

ーーなるほど。会社としても現場としても必要とされていた施策だったのですね。お二人から見て、やはりベンチャーへ移籍させる一番の期待は、「価値創造」の経験ということでしょうか。

竹下:それもそうですが、“当事者意識を持って”現場で事業をやるということも大事だと考えています。ベンチャーというまだ整っていない環境下で、自分の動きが会社の存続に関わってくる。本気で挑まなければいけないリアルな現場だからこそ、当事者意識を持つことができるわけです。実際、戻ってきたメンバーの話を聞いても、そういった経験が得られています。

 それに、ベンチャー側も、「この人に任せる」という覚悟を持って受け入れてくださっている。本人がこのベンチャーに行きたいと言っても、ベンチャー側が難しいと判断すれば面談で落ちてしまう。生半可な気持ちでは挑めません。ベンチャー側も本気だからこそ、よりよい経験につながっているのだと思います。

ーーお互い本気だからこそ、当事者意識が生まれるわけですね。お二人から見て、戻ってきた方々に何か変化はありましたか?

佐々木:そうですね、戻ってきて顔つきも変わりました。たとえば今年移籍した服部さんは、どちらかというと朴とつとしていて、誠実で地道に成果を上げていくタイプ。でもベンチャーで試行錯誤して、たくましくなったというか、自信が表情にあらわれるようになりました。とにかく発言も前向きです。相当揉まれたんじゃないかなと(笑)。

竹下: 彼の場合、移籍先で営業をしていたのですが、なかなか成果が出ず、このままだと会社にかなり影響が出ると。でも誰かが代わりにやってくれるわけではない、自分でなんとかするしかないという状況でやり抜いた。そういうメンタリティで仕事をする機会ってそうありませんから。

佐々木:同時期に行っていた堀江さんでいうと、帰任後、移籍経験を話す全社報告会の中で、「打席に立つことを恐れてはいけない」って話していたんですね。彼女はチャレンジや改善する意欲はすごく高い方でしたが、自分が矢面に立つというところまでの印象ではありませんでした。でもベンチャーに行って、自分が打席に立たないといけないこともあると、新しいことをやるには自分が前に出ないといけないんだってことを知って、腹決め感のようなものが伝わってきました。

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人事部 人事課  佐々木健太さん

ーー経験から得た強さを感じますね。そこまで変化があると、周囲に対してもいい刺激を与えているんじゃないかと。社内での広がりという点ではどうでしょうか?

佐々木:先日、報告会をZoomでやったのですが100人以上が参加してくれて、想定より多い結果となりました。ここまで興味持ってもらえるとは思いませんでした。

竹下:報告会は今回初めてだったのですが、誰がベンチャーに移籍するってことも人事発令で出していますし、社内の関心も高いようです。1人目で行った舟橋さんの影響もあると思います。彼は帰任して1年強経ちますが、ベンチャーで得た経験を社内にどのように融合していくのか、どう結果を出していくのかって、苦戦しながらも頑張っている。そういう動きが周りにも少なからぬ影響を与えているのではないかと。

佐々木:経営層も、移籍した人の顔つきが変わって帰ってくるってところに手応えを感じているようです。移籍した人たちも「挑戦する風土をつくりたい」って言ってくれているので、どうやったら社内に浸透するかを一緒に考えていきたいですね。

竹下:移籍した人たちには、自らチャレンジしていってほしいですし、「こういうことが大事」だって、ベンチャー経験で得たことを伝え広げていってもらえたらと。そうやって組織に変化を与えていけたらと考えています。

上司のフォローあってこそ

ーー社内でもだいぶ浸透しているようですね。ちなみに、レンタル移籍を導入するまでに苦労したことはありますか? 導入を検討されていた頃は、まだ他社での導入事例も多くあったわけではないですよね。

竹下:そうですね。そこまでの苦労はなかったように思いますが、最初は社内で話してもピンときていないようで、かなり説明する必要はありましたね。行かせたら辞めるんじゃないかって声もありました。なので、仕組みがしっかり整えられていることや、きめ細かいフォローがあることなどを説明して、理解してもらいました。

 事例の話でいうと、まだ少ないのはむしろチャンスかなと思っていました。事例が増えて、後から乗っかっても遅いと思っていたので。そもそも、レンタル移籍との出会いでいうと、「次世代の人材育成に何かいいサービスはないだろうか」って、僕がネットで探していて、たまたまヒットしたんです。「これだ!」って思って、すぐに原田さん(ローンディール代表)のところに押しかけました(笑)。そこで、原田さんから熱意やサービスの背景を聞いて、素晴らしい仕組みだなって、より関心を持ったんです。それに新しい。こういったことに会社をあげてチャレンジすることは、従業員に対しても刺激になりうる。むしろポジティブに捉えていました。

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ーー導入されてからはスムーズに進んだのでしょうか。現場から人を一定期間ベンチャーへ出すということに対して、上司やマネージャーの方々の理解はすぐに得られたのでしょうか。

竹下:「人材にチャンスをつくる」ということに対して、前向きに考えてくれる役員や上司が多いので、「一定期間抜けるのは痛いけれど、本人にとってはいいことだから」と、理解はしてもらえました。やはり上司に伴走してもらわないといけないので、僕らとしても、上司の理解と支援は重要視していました。

 上司は、もしかしたら自分のところに戻ってこないかもしれないという前提の中で行かせることになる。なので、「なぜ行ってもらうのか」という思いや狙いをしっかり伝えて、上司にもフォローアップしてほしいと強くお願いしました。結果、「本人のことを考えるといい機会だよね」って、手厚くサポートしてくれていました。たとえば、移籍先で本人がうまくいかないことがあると、わざわざ食事に誘って勇気付けたりとか。とても助けられました。

ーーそれは素敵なエピソードですね! ちなみに移籍中、お二人はどんなフォローを?

竹下:週報・月報の内容で気になるところがあればメールでフォローしたり、面談をしたりしていました。ですが、基本的にはあえて関与しないようにしていましたね。こちらから「こうしてほしい」「こうした方がいい」って言うものでもないと思っていますし、むしろ自社のことを忘れてもらって構わないと。その分、集中してもらうことが大事なんじゃないかと、踏み込み過ぎないようにしていました。メンターの方が的確なアドバイスをされたり、手厚くフォローしてくれていましたし。

佐々木:「苦労をしているなぁ」って、奮闘している場面を見てきましたけど、自分もそれで何かをするというのは基本的にはなく、見守っていました。むしろ戻ってきた後こそ、しっかりフォローしようと。

自ら機会創出できる人材へ

ーー今後、レンタル移籍の活用において、何か新たに検討されていることはありますか?

佐々木:先ほどもお話ししましたが、やはり、ベンチャーから戻った後、どのように活躍していけるのか、どのように周囲に広めていけるかっていうフォローや展開を積極的に考えていきたいですね。そうすることで、社内で、自ら機会創出をしていく人材が増えていったらいいなと思います。そのようなカルチャーを醸成させていきたいです。

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竹下:たとえばですが、移籍経験者が管理職や役員になるとか、もしくは事業創造をするとか。その転換期となった経験が実はあの時のレンタル移籍だった…みたいなストーリーが生まれたらいいなと。本人のキャリアと、会社の持続的な成長や発展につながる事業推進への還元を期待しています。

ーー最後に。お二人自身がこれから挑戦されたいことを教えてください。

竹下:今年はコロナもありましたし、どの会社も明るい話ばかりではなかったと思うんです。そんな中で、会社の持続や成長をより推進していきたいと思いましたし、そのためには、次世代の人材をどう生み出していくかっていうことが、人事の大きなミッションでもある。次の経営を担う人を誕生させることを、戦略的に仕掛けていきたいですね。

佐々木:個人の能力を開花し、長所を活かせるような仕組みづくりや風土にしていきたい。今まで、採用をやってきたのですが、新卒も中途も、キラッと光るものを持っている人を採用してきました。ですが、会社に長くいると埋もれて目立たなくなったり、勝負できる機会がなかったりする。弱みを消すのではなく、強みが活かせる機会提供をしていけたらと考えています。

竹下:やっぱり人事として何か施策をやるにしても、僕たち人事がリーダーにならないといけないと思っています。人事が挑戦し続けないといけない。そうじゃないと、「あなたたちはやっていないじゃん」って。僕たちがレンタル移籍に行くかどうかは別として(笑)、チャレンジし続けないとって思いますね。

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【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計41社115名のレンタル移籍が行なわれている(※2020年10月1日実績)。→詳しくはこちら

協力:大和ライフネクスト株式会社
ストーリーテラー:小林こず恵
写真:宮本七生
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

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