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期間限定の仲間へ。 僕らがそれぞれの立場でできること -前編-

今回お話を伺ったのは、東芝テック株式会社から、株式会社KAKEAIにレンタル移籍中の小西正太(こにし・しょうた)さんと、小西さんを受け入れたKAKEAI代表の本田英貴(ほんだ・ひでたか)さん。KAKEAIは、企業内のピープルマネジメント改善にフォーカスし、AIプラットフォーム「KAKEAI」を提供しているベンチャー企業。2019年、日本最大級のHRtechアワード「HR Tech GP」でグランプリ受賞するなど、注目を浴びています。
https://company.kakeai.com/

小西さんは、移籍してまだ4ヶ月でありながら(※取材時)、すでに、KAKEAIにとって、なくてはならない存在になっている様子。重要なサービスのリリースを成功させるなど、その貢献も大きいようです。小西さんがなぜたった数ヶ月で、パフォーマンスを発揮できたのか? そこには、小西さん自身の変化と、それを支える本田さんの存在がありました。そんなおふたりの4ヶ月間のエピソードをお届けします。

※本記事は2020年3月時点での取材をもとにしています。


—外に出て自分の気持ちを高めたい

ーーそもそも小西さんは、なぜ「レンタル移籍」に行くことになったのでしょうか?

小西:単純にベンチャーに行くっていうことが面白そうだなっていうのもありますが…、課題感があったから、というのも大きいですね。僕は新卒で東芝テックに入社して、デザイナーとして働いて十年近くになるんですが、その中で色々と考えることもあって…。

この歳になると、新しい道を選んだりキャリアを変えたりする同年代の仲間も増えてきて、そういう中で、大きな不満があるわけじゃないんですが、自分自身はこのままでいいんだろうかって、仕事に対するエンゲージメントが下がってしまっていました。熱量高く仕事をしている人たちを見て、今やっていることが自分ごと化できていないな、とも思いましたし。だから外に出て、もう一回、自分の気持ちを高めたいなって。

あとは新規事業創出のミッションがある中で、アイデアを提案する場面は数多くあったものの、ビジネスに落とせるまでは思考しきれていなかったというジレンマも抱えていました。そのフレームワークをベンチャーで学び、組織に持ち帰れたらちょうど良いんじゃないか、とも。…今考えると、そこに決まったノウハウは存在しないし、これをやったらうまくいくっていう法則はないとわかったので、浅はかだったなって思いますけど(笑)。とにかくその瞬間瞬間で何が最善かを考えるしかないという。

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東芝テック株式会社 小西正太さん
新卒で東芝テックに入社以来、自社プロダクトのハードデザイン業務に従事。2019年12月より株式会社KAKEAIにレンタル移籍中。


ーーなるほど、課題感とベンチャーへの期待が重なったのですね。そんな中で、なぜKAKEAIさんを選んだのでしょう?

小西:正直、HR業界ってこれまで全く意識してこなくて。本田さんの創業の思いに惹かれて、お会いしてみたいなと思ったのが始まりです。すごくエモいんですよ!

本田:あぁ、あれね…(笑)。

小西:本田さんの記事を読みまして。ご自身が上司の立場で経験された上司と部下との掛け違い、それを解決するためにサービスを立ち上げた、ということが語られてて、グッときました。実際に面談でお話を伺って、ぜひここで働きたいって思いましたね。初対面で、しかも面談に来ただけの自分に、投資家の方に説明するような事業戦略の資料とかも見せていただいて、ここまで見せてくれるんだ…って感動したんです。…ただ、本田さんからは「期待している!」みたいなことも言われて、うわぁー、どうしよう…ってプレッシャーも感じましたけど(笑)。

本田:そんなこと言ったかな…(笑)。採用の面談って、相手を見定めるってことではなくて、あくまで自分たちがどういう関わり方をすれば、本人にとっていい機会になるかって、こちら側のチェックの時間だと思って臨んでいるんです。だから、小西さんとお会いして話を聞いた時、彼はここに来れば、どこに行くよりも絶対にいい経験ができるって思ったので、…そういうことを言ったのかもしれません。

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株式会社KAKEAI 代表取締役社長 兼 CEO 本田英貴さん
2002年に株式会社リクルート入社。商品企画、グループ全体の新規事業開発部門の戦略スタッフなどを経て、㈱電通とのJVにおける経営企画室長。その後、㈱リクルートホールディングス人事部マネジャー。人事では「ミドルマネジメント層のメンバーマネジメント改善」施策や、「Will,Can,Must・人材開発委員会・考課・配置等」のデジタル化を実施。2015年リクルート退職後、スタートアップ数社での役員を経て2018年4月に株式会社KAKEAIを創業。


—期間限定だからこそ、スピード感が合う

ーー本田さんがレンタル移籍を導入されたのは「KAKEAI」というプロダクトを本リリースして間もない頃ですよね。まさにこれから…という大事な時期に、なぜ導入されたんでしょうか?

本田:レンタル移籍に限らず「KAKEAIに関わりたい」という方がいたら、期間限定だろうが、ぜひ一緒に働いてみたいというのが前提にあります。ただ、レンタル移籍とは期限が決まっているからこそ、当事者もその中で何かを成そうという力学が働きやすいので、スタートアップのスピード感と合っているのではないかと思いますね。実際、小西さんも短い期間で、ものすごいレベルの事をやってくれてますし。

僕自身、根底には、共に働いた仲間の人生を少しでも良くしたいという思いが強くあります。一定期間で去るとしても、ここで関わったことがその人の人生に意味のあるものにできればいいなと思いますし、いつか本人が自分の人生を振り返った時に、あの経験をしておいてよかったなぁ…と思ってもらえたら。

小西:その先まで考えてくれて、すごく嬉しいですよね。それに、本田さんはいつも、経営者とスタッフという関係性ではなく、できるだけ対等の目線に立って話そうとしてくれているのが、すごく伝わってくるんですよ。だからこそ「自分も主体的に動かなきゃ」って気になるんです。

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本田:こちらとしては、本人が自ら動けるようにするために、何を提供すべきかということを考えていました。事業全体を見られるように様々な情報を開示し、失敗もしてもらって、成長につながればという思いでした。やってもらう業務も、まずは本人がやりたいこととマッチングしないと、本人にとってはもちろん、会社にとっても良くないので。そこを意識しながら。

小西:僕としては、目前のタスクをこなすだけでなくて、プロジェクトの上流から関わって、自分の意志を持って動けるようになりたいって思っていました。実際、そのような立場でプロダクト開発を任せてもらえることになって、本当に有難いなって。「KAKEAI」のようなSaaSの開発は初めてなので、かなり緊張感はありますけど。

—常に最善を目指す組織の中で

ーーそれはいい経験ができていそうですね。今までとは異なる環境、業務への関わり方の中で、すぐに馴染めましたか?

小西:いや、…最初は待ちの姿勢になっていたなって思いますね。全体の中で、自分のやっていることの紐付けができていなかったせいだと思います。

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本田:そう? 全然待ってなかったと思うけど。

小西:いやぁ…、手を動かしてできる仕事はあったんですよ。だからまずは目の前のできることをやりながら、だんだん、みんなの中に入っていった感じです。でも今思うと、自分がやっていることが全体のどういう部分に影響しているのか、それが最初の頃はわからなくて、“ただやっているだけ”だったなって。

でも周りのみんなが、自分の役割を超えて仕事をしているのを見て、だんだん全体感の中で仕事をするという感覚が掴めてきたんだと思います。とにかくKAKEAIは、常に最善を目指す組織なんです。納期とかコストも大事なんだけど、とはいえ一番大事なのはそこじゃないよね、もっとできることはないのかって。みんながみんな、自分の役割とかではなく、プロダクトとして常に最高のアウトプットを目指してますよね。

本田:うん、それはそうだね。

小西:最初はそこについてくのが大変でした。けど、もうひと工夫するだけでもっと良くなるんじゃないか、だったらやった方がいいよねって、自分の役割はここまで…と思考を止めてしまうのではなく、最善を考えながら、業務ができるようになりました。

ーー小西さんは、ここに来るまで自分ごと化できていないとおっしゃっていましたが、今の仕事は、だいぶ自分ごと化できているようですね。

小西:そうですね、特に意識したのは一ヶ月経った時。「KAKEAI」サービスの中で「1on1ミーティング」をサポートする機能をローンチすることになっていたのですが、そのディレクションを任せていただきまして。かなり重要なパーツを担当することになって、「自分がやらなきゃ」って自分ごととして強く捉えられるようになりました。また、コンセプトやいいアイデアが生まれた時、手応えとともに楽しさを感じました。

ーーすごく大事なサービスを入って間もない小西さんに任せようと? すごい信頼ですね!

本田:まぁ、できるかなと思って(笑)。

小西:いつもそんな感じですよね(笑)。お客様扱いは一度もない。だからこそ、すべて本気で挑戦させてもらっているので、感謝しています。「1on1サポート機能」も、この間ようやくリリースしました。「KAKEAI」にとってかなり重要なパーツだったので、達成感もやりがいも大きかったです。

→ 後編「外に出るとその不安を上回る成長機会が絶対ある…」へ

【「KAKEAI」のサービスについて】

日本最大級のHR Techアワード「HR Tech GP」でグランプリ受賞、世界有数のHRtechメディア「HR TECH Outlook」よりアジア太平洋地域における2019 HR tech サービス TOP10 に選出された「マネジメントにおけるコミュニケーションの質を改善するプラットフォーム『KAKEAI』」。
コミュニケーションの「掴めず」「ズレる」を解消する仕組みをぜひ、チェックしてみてください。→KAKEAIのサービス情報はこちら


【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2016年のサービス開始以降、計36社95名のレンタル移籍が行なわれている(※2020年4月実績)。→詳しくはこちら


協力:東芝テック株式会社 / 株式会社KAKEAI
撮影:宮本七生
インタビュー:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/

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