【第1章 3年後が見えない】諦めなくて良かった 〜新サイネージ「LOOOK (R) by NTT MEDIAS」の誕生秘話〜
今回の主人公は、NTT西日本から、風景を配信するサービスを提供するベンチャー企業、株式会社ランドスキップに1年間レンタル移籍した佐伯穂高さん。佐伯さんは2017年4月から移籍を開始し、2018年3月に終了。そして約1年後の2019年4月、ランドスキップと提携して新たなサービスをローンチしました。そんな佐伯さんのストーリーを全4回でお届けしていきます。
今回の主人公
佐伯 穂高(さえき ほたか)
NTT西日本ビジネスデザイン部 ビジネスクリエーション部門 所属。
新卒でNTT西日本に入社。支社で企画営業を経験したのち、数年前に本社に異動。念願の新規事業開発を行うビジネスデザイン部に配属になる。しかし、任されたのは事業の創出ではなく、事業のマネジメント。このままでいいんだろうか……という焦燥感、もっとチャレンジしたい!という想いから、レンタル移籍を決意。
【第1章 3年後が見えない】
2019年4月12日。
「世界の風景を連れてくる」をコンセプトに、風景の配信をデジタルサイネージで提供するベンチャー企業・株式会社ランドスキップと、NTT西日本グループ・NTTメディアサプライ株式会社の取り組みが発表された。
ランドスキップが提供する空間演出デジタルサイネージ「LOOOK (R)(ルーク)」を、NTTメディアサプライが「LOOOK (R) by NTT MEDIAS」というブランド名でも配信する。同グループが持つ、巨大ネットワークを活用した本サービスは、デジタルサイネージによる空間演出と情報発信の普及に大きく貢献していくだろう。
本サービスの仕掛け人は、NTT西日本・ビジネスデザイン部の佐伯穂高(さえきほたか)。佐伯は、同社に所属しながら、2017年4月から1年間、レンタル移籍(※1)を通じて、ランドスキップで働いた。その経験を経て、今回のサービスローンチに至った。
—3年目の桜
東京都中央区。
ランドスキップとの打ち合わせのため東京に出てきていた佐伯は、八重洲さくら通りを歩きながら、ひらひらと散りゆく桜を晴れ晴れとした気持ちで見つめていた。
佐伯は「LOOOK (R) by NTT MEDIAS」が無事にリリース発表できたことに安堵しつつ、これまでの日々を振り返っていた。
2年前、この桜を見ながら自分の限界を感じていたこと。
1年前、組織の壁に直面して桜を見る余裕すらなかったこと。
———この2年間、何度も何度も諦めそうになった。
それでも諦めないで本当に良かった……。
佐伯は、サービスと自身の未来を想像しながら、ワクワクしていた。
—3年先すら見えない
新卒でNTT西日本に入社した佐伯は、大学時代は社会学を専攻。
ローカルからグローバルまで様々な社会問題に触れた。
地元広島から大学進学で東京に上京した際、地元の良さを再認識した経験から、学生時代はグローバーリズムをローカリズムにという視点で、地域の問題を解決する大規模なビジネスを作りたい! そう考えていた。
だからこそNTT西日本だった。
「大企業に入ったら何か大きなビジネスができるかも、通信やITのインフラを活用して新しい事業を作りたい!」漠然とであるが熱い想いを持っていた。
入社後しばらくは、和歌山、鳥取、そして地元・広島など、地方支社で勤務することになる。そこでは、販売企画、管理や地元企業とのアライアンスの推進が主な役割だった。
元々、地域活性につながる事業がやりたいと考えていたこともあり、やりがいはあった。地元広島に貢献できたことも嬉しかった。
それでも、特定のエリア、既存ビジネスという枠の中では限界がある。
本社でもっと大きなビジネスを仕掛けたい、その気持ちはずっとあった。
間もなくして、念願の本社に異動。
新規事業を行う本社のビジネスデザイン部に配属される。
しかし、佐伯が担当することになったのは、新規事業そのものの創出ではなく、新規ビジネスを管理する業務。各部署との調整をしたり、収支管理をしたり、事業のマネジメントなどが主だ。
それでも、ずっと新規事業に携わりたいと考えていた佐伯にとっては最初は新鮮だった。しかし1年、2年と経ち、仕事にも慣れてくると「このままでいいのかな……」
いつの間にか焦燥感を感じるようになっていた。
———そして、この部署に来てもうすぐ3年が経つ。
せっかく配属された新規事業の部門で、やりきった感もないまま、また違う部門に異動になる。入社してもうすぐ8年、自分はどこに向かっていくんだろう……。
この頃の佐伯は、10年後はもちろん、3年後の未来すら想像できないでいた。そんな時、レンタル移籍に出会う。
—上司に背中を押されて
「とりあえず、面談だけでも受けてみたら?」
上司に背中を押され、佐伯は、とあるベンチャー企業の面談を受けることになった。
この頃、ビジネスデザイン部では、人材育成の一環でレンタル移籍の導入が検討されていた。自社を辞めずに、一定期間ベンチャー企業で実務経験ができるというその仕組みに、佐伯自身も強く興味を持った。
当時はまだ前例もない。
「本当に自分は外の世界で通用するのだろうか?」という不安も大きい。
しかし、このまま何もしないでいるのも不安だ。
いい体験になるかもしれない。
「じゃあ面談だけでも……」
佐伯は面談を受けることに決めた。
そして、移籍先候補のベンチャー企業を選定するにあたり、薦めてもらった1社がランドスキップだった。
—久々のドキドキとそわそわ感
ランドスキップの代表 下村との面談を経て、「ここで働いてみたい!」佐伯は強く思った。
地域の風景をコンテンツ化していくという着想の面白さと、下村の熱いビジョンに胸打たれたのだ。
また、ランドスキップは、ちょうど事業の柱となるサービスができあがり、これから販売していくという重要なフェーズ。ここで実績を作ることができたら、きっと大きな力になる……、そう思った。
自分は本当に貢献できるんだろうか、という不安。同時に、どんな未来が待っているんだろうか、というドキドキやそわそわ感。
こんな感覚は久々だった。
こうして、1年間のレンタル移籍が始まった。
—「パートナーだと思っている」
佐伯(左)とランドスキップ代表の下村(右)
ランドスキップは、風景動画コンテンツの配信から、デジタルコンテンツとテクノロジーを組み合わせた空間演出、プロジェクションマッピングまで、デジタルインテリア市場のイノベーションにチャレンジしているベンチャー企業である。
この頃は、「バーチャル・ウィンドウ」という自社サービスのローンチに向けて準備していた。当時、ビジネスサイドは下村がほぼ1人できりもりしていて、そこに佐伯が事業開発担当としてジョインすることになった。
下村は移籍したばかりの佐伯に言った。
「佐伯さんは部下とは思っていませんから。事業を共に推進していくパートナーだと思っています。一緒に汗をかいていきましょう!」
佐伯は嬉しかった。
プレッシャーより、「やってやろう!」
その気持ちの方が大きかった。
———しかし。
それから1ヶ月後、佐伯は自分の限界を知ることになる。
(※1)レンタル移籍とは?大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2016年のサービス開始以降、計21社39名以上のレンタル移籍が行なわれている(※2019年4月現在)。導入企業の実績はこちら https://loandeal.jp/biography
「&ローンディール」編集部よりお知らせ!
【参加者募集】7月3日(水)開催
「ローンディールフォーラム2019 人材流動化の先にあるもの」
昨年5月に開催し、250名もの方にご来場いただいた「ローンディールフォーラム」を今年も開催します。今回のフォーラムでは「人材流動化の先にあるもの」と題して、レンタル移籍を経験した方々による事例紹介、大企業のマネジメント層の方々による社外経験が組織にあたえる影響についてのセッション、さらに、特別ゲストをお招きし「人材の流動化」についてのパネルディスカッションを行います。ぜひご参加をお待ちしております。
<イベント概要>日程:2019年7月3日(水)時間:15:00〜18:30 終了後、会場で懇親会あり。場所:Base Q(東京ミッドタウン日比谷 6階)費用:一般 3000円(税込) 早割 1500円(税込)※ 5/21までのお申込の場合詳細・お申し込みはこちら → https://eventregist.com/e/loandealforum2019
協力:NTT西日本、ランドスキップ
Storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/