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【最終章 「最小最速最短」の発想で】製薬から音楽の世界へ 〜異業界で見つけた、自分のやりたいこと〜

<過去記事>
第1章 「大鵬薬品から音楽の世界へ」
第2章「あれもダメこれもダメ。「企画」って難しい!」
第3章「思い出した、自分の好きなこと」

ー「さようなら」は音楽とともに

移籍終了を目前に、大西は、残せるものは残したいと業務に懸命だった。
しかし、頑張りすぎてしまったせいなのか、終了の数日前に熱を出してしまう。それでも何とか持ち直して最終日を迎えるわけなのだが、大西は、終わりという実感が全く湧かなかった。


移籍最後の日。
nana musicにある音楽室で、社員たちが大西のお別れ会を開いてくれた。

nanaのロゴと「Thank you Onishi」という文字が刻まれたオリジナルのTシャツとマグカップに加え、社員たちからの熱いメッセージが詰まった色紙がプレゼントされた。そしてクライマックスには、大西が学生時代によく聴いていたスピッツの「チェリー」を、nanaらしいギターの生演奏と共に、皆が大熱唱してくれるというサプライズもあった。

nanaの社員の温かさへの感動と感謝の気持ちが溢れ出て涙する反面、「本当にこれで終わりなんだ……」という寂しさをようやく実感することになる。

大好きだった音楽に関わり、子供の頃好きだったクリエイエィブな世界を思い出し、今こうして新たな仲間たちに囲まれている。
熱いものがじわっとこみ上げる。

「卒業かぁ……」
———こうして、大西の第2の青春の幕が閉じ、新たな幕が開けた。

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nana musicの仲間からもらった色紙とオリジナルグッズ

ー大西の体験に皆が興味津々!?

———大鵬薬品に戻って2ヶ月が経った。
寂しい気持ちがありつつ、大西の中では、まだ移籍が続いている感じがあった。

というのも、大西が移籍から戻ってくるなり、「どうだった?」と多くの社員から聞かれ、体験談を話す機会が多かったからだ。

そして移籍終了から約1ヶ月後の9月初旬、大鵬薬品で大西の報告会が行われた。
当日は、役員・社員含めて40名以上が参加。社内オンラインでも配信を行ったため、会場に来られなかった社員も数多く視聴した。報告会後の懇親会では、大鵬薬品の社員とnana musicの社員が情報交換する場もあり、大西は、自分が大好きな2つの会社が報告会をきっかけに繋がるのを見て、とても幸せな気持ちになった。

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大西が報告会で用いた資料の一部。
得意のイラストで移籍先で得たことを表現した

また、報告会を経て、面識のない社員からメールで問い合わせが入ることもあった。
移籍の話を聞きたいという声はもちろんだが、「こんな企画を考えているのだが、どうしたら良いと思うか?」という具体的な相談も受けた。

ー「最小最速最短」が大切!

大西は、いつの間にか、「自分でこれをやってみたい!」と語る社員たちの話に耳を傾ける機会が多くなっていた。

ここにも「熱」を秘めた人達が居る……。
嬉しさを噛みしめながら、そんな時は、自身の6ヶ月間の経験から、まず一歩踏み出しての「小さな行動の積み重ね」と「小さな実績作り」の大切さを話した。

新規事業を実施する際は、いくつかの案を検討し、同時で走らせておくことが大切。そうすることで環境が変わったとしても、上手く行かなかったとしても、得た「学び」を参考に素早く方向転換できる。

そういった小さな行動と学びをスピーディーに積み重ねていくことが結果に繋がる最短の方法。

これは、大西がnana musicで身をもって学んだ「最小最速最短」という考え方。この考えはスタートアップでなくとも持っておくべき、そして、新規事業の担当でなくとも、色々な部署で色んなポジションの人が知り、持っておくべき思想だと思った。

ー覚悟を持って取り組むということ

大西は、移籍時の体験を大鵬薬品の社員に話しながら、文原社長のメッセージをよく思い出していた。

nana musicでは、月1回「朝会」が開かれていた。
そこで文原社長が言った、「ビジョンを持ち、自分たちのやりたいことのために自分たちで稼ぐ!」という力強いメッセージがずっと心に残っていた。

思い描いている世界のために行動し続ける、文原社長、nanaのマネジメントの覚悟が見えた瞬間だった。それは、いつも自分が、現実的なところで踏みとどまっている感が否めなかったからかもしれない。

物事の成功に必要なのは、自分を変えてでも絶対に成功させるという執念と熱量。その熱い信念がストーリーとなり、商品・サービスの魅力、そして価値を作っていくと思った。

「私が熱量を持ってできることかぁ……」
大西は、湧き上がる想いのその先にある何かを考えていた。

ープラットフォームを作ると決めた!

大西は、様々な人の相談を受けるうちに、自身が経験した「レンタル移籍」を、他の部署の人も行けるようなプログラムに浸透させたい! と強く思うようになった。
大鵬薬品にはこんなにチャレンジしたい人たちがいる、「想い」を持ちながらもどう一歩踏み出していいのか分からない。そういう人たちに是非体験して欲しいと思った。

そして自身では今、密かに一つの小さな検証を開始していた。
最初に取り組みたいと思った、情報と体験共有のプラットフォームの構築に向けての第一歩である。

どんなプラットフォームかというと、社員のモチベーションを日々あげられるような掲示板である。
もともと大西は、エンドユーザーと接する機会が少ないために、何のために仕事をしているのか、仕事のモチベーションを見失う瞬間が度々あった。エンドユーザーのリアルが分かる、声を見聞きできるようなプラットフォームが欲しいと思った。

エンドユーザーに近い立場にいる社員が「今日はこんな話を聞いた」とか「こんなエピソードがあった」とかをシェアしたり。社員が自社にまつわる身近な出来事を書き込んだり、感じたことや体験したことなど、どんな些細なことでも良い。
自分たちの仕事がどこに繋がっていて、助けたい人達は何に苦しんでいるのか。自分達の作るものは誰を喜ばせ、まだ課題として残る部分はどこか。社員が仕事のやりがいを常に感じられる、目標を見付けられるようなエピソードが集まる場所にしたいと思っている。

これを実現しようと思ったら、いろんな課題が出てくるだろう。
もちろんプラットフォームを作った経験なんてない。
それでも大西はポジディブで前向きだった。

それは、「最小最速最短」でまずは一歩踏みだし、取り組み続けることで実現できる気がしているからだ。


「さてと……!」
大西はノートをめくり、絵を描き始めた。
このノートが絵で埋め尽くされる頃には、大西の夢も実現しているに違いない。


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取材協力:大鵬薬品工業株式会社、株式会社nana music
storyteller 小林こず恵
提供 株式会社ローンディール
http://loandeal.jp

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