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失敗を許容する、とはどういうことか【ぼくらは仕事で強くなる vol.20】

連載「ぼくらは仕事で強くなる」は、ローンディール 代表 原田による個人ノートです。組織やマネジメントのこと、自分自身のキャリアについてなど、日々感じていることや取り組んだことを綴っています。週1回程度更新しています。

先日、ある勉強会で「失敗を許容することができない」ということが話題になりました。なんとなくそんな気はしますけれど、改めてこれってどんなことなのかっていうのを考えてみようと思います。

よく、ベンチャー企業と大企業では失敗の定義が違うといいます。ベンチャー企業では立ち止まっていることが失敗、動いて何か打ち手がうまくいかなくても失敗とはとらえられない。大企業だと、何かやって失敗したくないから何もしない。みたいになっちゃうことがあるようです。こう考えてみると、一言で「失敗」といっても状況によっていろいろありそうです。

失敗には大きく分けて2通りあるんじゃないかな、と思います。英語で言う「miss」と「fail」に分けて考えるとすっきりしそうです。「miss」は「間違い」というニュアンスですね。つまり、正解があるもの、そしてその正解にたどり着くことを自分の力で選び取れる類のものに対して、それを選べなかったということができそうです。例えば、メールの宛先をまちがえてしまったとか、誤字脱字とか、そんな感じでしょうか。一方で「fail」は、その逆で、正解がないもの、といえそうです。起業をしてうまくいかなかったとか、売上が予算に達成しなかったとか、ですかね。一概に「失敗を許容」といっても、この両者でちょっと考えるべきことは変わってくるのかもしれません。

まず、「miss」について。

端的に言えば、これはないに越したことがないものですよね。マイナスがあってそれをゼロにする必要がある類のもの。だから仕組みとかで解決できる可能性は高いんだと思います。どうしたら「miss」が起こらない仕組みになるかを考える、ということになりますよね。ただ、ここで注意したいのは「自分の力で選び取れる」といっても、それって相手にとっても同じように選び取れるものだろうか?と立ち止まって考えること。例えば、子供が初めて一人でお使いに行って言って、牛乳を買って来てほしかったのに豆乳を買ってきちゃった、とか。もちろん大人だったら間違わないかもしれないけど、それって本当に誰でもたどり着ける「正解」なんだろうか、って考えてみることは大切かもしれません。

あともう一つ考えうるとしたら、「miss」は「miss」なんだけど、それを「miss」と捉えない、というやり方があるかもしれません。豆乳を買ってきちゃった例で言うなら、じゃぁせっかくだから豆乳鍋を作ってみたらおいしくって温まった、ってなったら、これは「miss」ではなくなる。そんな一発逆転を思考してみるとよいのかもしれません。

続いて、「fail」について。

正解がないものに関する失敗、といいましたが、確かに結果としての正解はないとしても、プロセスとしての正解はあると考える人もいるかもしれません。たとえば、売上が目標に行かなかったとして、それを失敗として責められる。未来のことはわからないわけですから、その目標が正解とはいえないけど、失敗と捉えられる。そう考える人は正しいプロセスがあると信じているからなのかもしれません。つまり、まずはこの失敗は「miss」なのか「fail」なのか、その認識を揃えることが大事なことのように思います。

それで、うん、この失敗は正解がないなかで起こったことだよね、「fail」だよね、って合意ができたとします。多分この時が一番学びが多くって、この「fail」から抽出できる「正解」もしくは「確からしさ」って何だろうか、って考えてみるのが良いのではないかな、って思います。そうすると、世の中で正解がないことに対して、自分たちだけが「正解」を持てる。そんな機会ってなかなかないですよね。例えば、新規事業をやったけどうまくいかなかった、ってことがあったとき。その事業が革新的であればあるほど、その失敗から得られる「正解」の希少価値は高くなるはず。そう思うと、ちょっととがったことやって失敗したほうが、おいしいですよね。

以上、今日は失敗のパターンと、それごとに考えたらよいかなって思うことについて書いてみました。

今は本当に誰も正解がわからない時代。コロナ対応だって、世界中、政府も自治体も、みんな手探りでやっている。そんな時代だからこそ、「miss」であれ「fail」であれ、失敗をみんなで受け止めて前に進めていけたら良いですよね。では。


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