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何を言うかではなく、誰が言うか【ぼくらは仕事で強くなる vol.13】

連載「ぼくらは仕事で強くなる」は、ローンディール 代表 原田による個人ノートです。組織やマネジメントのこと、自分自身のキャリアについてなど、日々感じていることや取り組んだことを綴っています。週1回程度更新しています。

レンタル移籍が終わると、移籍をした方には大企業の中で報告会を実施してもらいます。その報告会は、移籍者にとって一つの区切りの舞台であると同時に、復帰した後に大きな組織の中で戦っていく際の支援者や賛同者を得るための重要なイベントだと認識しています。そのため、振り返りのミーティングや資料作成の支援など、結構時間をかけてサポートをしています。

そんな報告の中で、私たちが移籍者にしっかり表現してほしいと思っているのは、その人がどんなことに直面し、どう変わったのか、というところです。

そんなことをやっていて昨日、ある移籍者からこんな質問をいただきました。

よく「〇〇さんの中で、気持ちがどう変化したのか?〇〇さん的にどう感じたのか?」と、移籍者本人の気持ちの変化などに着目した話をしてほしいってよくおっしゃってるのを耳にしますが、なぜ「個人の気持ちの変化の話」などの方が聞きたくなるのでしょうか? 一般論で考えると、その人が学んだ「学び」だったり「知らない情報」とかの方が皆さん興味もたれるのかなぁと思ったんです。

これ、めちゃくちゃありがたい質問で、良い機会なので私なりの考えを整理してみました。人に何かを伝えるときの、参考になるかもしれないと思うので、今日はそれをシェアします。

端的に整理すると、私たちはなぜ「学びや情報」よりも、「個人の変化」を重視するのか?」という質問ですよね。

結論から言うと、周囲を動かしていくときには、「何を言うか」よりも「誰が言うか」のほうが圧倒的に大事だと思っているからです。

ご質問をくれた移籍者の方が準備してくれた資料やプレゼンはとっても素晴らしく、私も感動しました。ただ、「イノベーションの起こし方」みたいなことが結構紙幅をとって書かれているのですが、改めてここだけを冷静に読むと、申し訳ないですが、私にとって新しい学びや情報はありませんでした。

それでも感動したのはなぜか?それは、本を読んで得た理論や知識ではなく、その移籍者の方が1年間、全力で挑戦して、自分の手でつかみ取ったものだからなんですよね。
だから、私にとって既知のことであっても、言葉の迫力に圧倒され感動をしたわけです。お世辞ではなく改めて再認識させてもらったことがたくさんありました。

これは私が多少その領域に知識があるから、ではありません。逆にイノベーションの理論や企業変革について全く勉強をしていない人からしたら新しい知識もあるかもしれませんが、今まで勉強をしてこなかった人に知識だけを伝えても「そんなの知らん!」ってなってしまうリスクがあります。例えば、ビジョンが大事、PDCAを速く回すことが大事っていう話はおそらく社会人なら一度は上司や偉い人の言葉として耳にしたことがあると思うんですよね。それが本当に大事だから至るところで語られているわけですよね。とはいえ興味がなければ、「そんなの知らん!」でおしまい。

そういう人に対しても、「誰が語るか」によって相手に何かを伝えられる可能性は劇的に高まるんです。それは、同期・同僚の○○さんが言うなら、だったり、あんな経験をしてきた○○さんが語るから、なんだと思うんです。

おそらく世の中にあるあらゆるビジネス、仕組みを思い付くだけの人ならごまんといるはずです。でも実現できたのは、それを語った人に負うところが大きいはず。

そんなわけで、個人を語ることが大事だと思っています。そのためのストーリーとして強力なコンテンツが、「個人の変化」ではないかな、と考えているんです。

大きな組織の中の中にいると個人を語る機会って少なくなってしまうかもしれません。でも、本当は一人ひとりにストーリーがあって、それが世界を動かしている。勇気をもって語れる人が増えたら、きっと社会は良くなると思うんです。もっと自分を語ろう。

では!


※ちなみに写真は、私が高校生の頃に書いた似非抽象画。今さら実家から送られてきたので記念に使ってみました。笑


▼ 過去のノートは以下より


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大企業の変革を促進する「レンタル移籍」とは?


「イノベーションを生み出せる人材に必要なスキル・マインドは?」「そして、組織はそのような人材をどう活かすべきか?」ローンディール代表の原田が登壇し、レンタル移籍を導入している企業の実例を交えながら、個人そして組織の両面から、組織変革の鍵を探ってまいります。本イベントを通して、イノベーションを促進させるための人材育成・組織開発について考えるきっかけになれば幸いです。人材開発・新規事業開発に携わる皆さま、ぜひお越しください。

日程:2020年11月13日(金)
時間:14:00~15:30 講演・質疑応答  
対象:大企業の人事・人材開発部門の方、ならびに新規事業開発・イノベーション推進部門の方
会場:オンライン開催。ZOOMにて配信予定
定員:30名
参加費:無料
主催:株式会社ローンディール
詳細:https://loandeal.jp/events/20201113seminar


【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計41社115名のレンタル移籍が行なわれている(※2020年10月1日現在)。→詳しくはこちら


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