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創業300年の老舗製薬メーカー、イノベーション人財育成への挑戦。outsightがもたらした変革の兆し

大企業社員100人 × ベンチャー経営者が本気で議論する実践研修「outsight(アウトサイト)」。これまで42社にご参加いただき、累計約300名の方がベンチャー企業のリアルな事業課題やその解決策について議論してきました。outsightを導入した企業は、どのような背景で「オンライン越境」研修を選んだのでしょうか。また導入後はどのような変化が起こっているのでしょうか。2022年7月より参加いただいている小野薬品工業株式会社の担当者・山本尚弘さんに、outsightの導入背景や参加者のその後、outsightが自社にもたらした変化についてお話を伺いました。


イノベーション人財が育つ、集まってくる
企業風土醸成への挑戦


--小野薬品工業さんは昨年(2022)7月から、15名の方にご参加いただいています。outsightが導入された背景を教えてください。

当社では企業価値を向上させ、持続的に成長するために「企業基盤の強化」の推進に取り組んでいます。「企業基盤の強化」における重要なテーマの一つが新たなイノベーション創出の源泉となる「人財」の育成や、社員の挑戦を後押しするような企業風土づくりです。

そこで、社員一人ひとりの挑戦を加速し、イノベーション人財を育成する取り組みとして2021年にOno Innovation Platform(OIP)を開設しました。

「OIP」では【学習】【経験】【挑戦】という3つの場を用意しています。学習の場として最新のビジネストレンドを学ぶセミナーを開催したり、挑戦の場として社内ビジネスコンテスト“HOPE”を開催したりと、様々なプログラムを用意しています。そして経験の場として、「outsight」と、ベンチャー出向プログラム「V2V(Voyage to Venture)」を導入しています。

山本尚弘さん(小野薬品工業株式会社 経営戦略本部 BX推進部 OIP室 OIP課)
小野薬品工業の営業や企画部署を経て、2022年4月から経営戦略本部BX推進部へ。挑戦風土の醸成、イノベーション人財の育成をミッションとするOIP(Ono Innovation Platform)室にてベンチャー出向プログラムやoutsightの事務局を担当。

--経験の場として、ベンチャー出向プログラムとoutsightを活用しているのですね。

そうですね。当社のような製薬会社では、多くの業務が機能分化されています。長い歴史もあるので、リスクを低減する仕組みは整っていますが、そんな中で長年仕事をしていると、正解のない未知の課題に取り組む機会や、短期間で意思決定を行う経験が積みにくくなるという課題があります。

V2Vでは実際にベンチャー企業に出向し、マルチタスクに取り組みながら短いスパンでPDCAを回す経験ができます。意思決定をする機会にも恵まれ、挑戦するマインドや自ら問いを立てて行動を起こす経験が得られます。このような「越境経験」には非常に価値があると考えています。

一方、V2Vは長期間の出向プログラムなので負荷が大きく、出向を経験できる人数にも限りがあります。一方でoutsightは毎週木曜日の20時から1時間半程度の時間で越境経験ができる。現業への負荷を抑えながら、より多くの社員が越境経験を積めるという点に魅力を感じています。

変革を志す人財が、組織の垣根を超える。outsightがその起点に


--山本さんご自身もメンバーとしてoutsightに参加していますね。実際に参加した感想を聞かせてください。

参加して感じたのは、自分自身の視野の狭さです。これまで情報のアンテナが業界内にしか向いていなかったことを痛感しました。outsight には、毎回異なるベンチャー企業の経営者が登壇します。世の中にはこんなビジネスがあるのか、こんなビジョンで社会課題に取り組んでいる企業がいるのかと、毎回新鮮な驚きと学びがあります。

--社内の参加者からはどのような反応がありますか。

当社からは、部門・役職問わず公募で集まったメンバーが参加しているのですが、様々な反響があります。

・情報への感度が高まり、積極的に異業種の情報を集めるようになった
・登壇者や参加者など、社外の方の思考からの学びが多い
・課題解決における思考プロセスが整ったように感じる

 など、outsightの越境経験は参加者に多くの学びをもたらしています。

 --参加から間もなく1年が経過します。変化の兆しは生まれていますか。

チャットツールを用いて社内参加者のコミュニティを運営しているのですが、参加者同士の積極的なコミュニケーションが生まれています。

参加者が自主的に声を掛け合い、お昼休みに集まって勉強会をしたり、社内の課題について議論をしたり、オンラインで懇親会を開催したり。異なる部門の人たちが会社の未来について議論をする場が生まれています。こんな素晴らしい展開は、私たち事務局は予想していませんでした。

変革を志す人財が組織の垣根を超えてコミュニケーションをとる。outsightがその起点になっています。

ベンチャー経営者が直面している課題に向き合うからこそ、参加者の本気度が違う


--改めて、outsightの良さはどこにあると感じますか。

今まさにベンチャー企業が直面している経営課題が題材になっているのはoutsightならではだと思います。一般的な研修ではケーススタディを扱うことが多いですが、outsightでは、画面越しにいるベンチャー経営者が本気で困っていることがテーマです。参加者が感じる緊張感やプレッシャーはケーススタディのそれとは大きく異なります。自分の提案したアイディアが良しと判断された場合、実行される可能性があるわけです。だからこそ、本気度に差が生まれるのだと思います。

また、異業種の方と共に研鑽が積める点もoutsightの良さだと思います。当社が掲げる「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念を具現化し、イノベーションを起こして患者さんに新しい価値を届けるためには、異業種や社会全体のトレンドにアンテナを張っていく必要があります。その点、outsightでは毎週、異業種の経営課題に触れることができますし、異業種からの参加者と共に学びを深めることができるのも魅力的ですね。

異業種や異部門。自分とは立場の異なる人の考えに触れ、学びが深まる

--異業種からの参加者と共に学べる場というのは大きいのですね。

毎週オンラインで行われる事業紹介では、参加者が複数のグループに分かれて作戦会議をする時間が設けられています。そこで一緒になった社外の参加者の考えに触れたり、中にはそこで連絡先を交換してネットワーキングに繋げたりと、異業種の参加者の方との交流は参加者の大きな刺激になっています。

--山本さんご自身、参加したことによる変化はありましたか。

outsightに参加してから、社外にも積極的にアンテナを張るようになりました。SNSを活用して情報を収集したり、色々な企業が提供しているセミナーに参加したりと行動を起こすようになっています。

--情報への感度が高まっているのですね。

そうですね。あとは思考プロセスの定着という面でも変化を感じています。outsightでは毎回300文字以内でアイデアを考え、期限内に投稿をするというオフィシャルルールがあります。当社ではこれに加え、ローカルルールを設けています。各自がアイデアを考えるに至った思考プロセスを言語化し、社内コミュニティ内で共有することをお願いしています。思考プロセスを言語化することで、学習効果を高める狙いがあります。

また、他の参加者の思考プロセスを知ることで、アイデアの発想方法や問題解決の際の思考プロセスが型化されてきたように感じていますね。まだまだ成長途上ではありますが、回を重ねるごとにアウトプットにかかる時間も減ってきています。

-outsight参加者で、トップクラスの星を獲得しているのも御社の方ですよね。

半年間で42社が参加しているとお聞きしていますが、星を獲得した1位・2位・同率2位が当社からの参加者でした。この3名に限らず、参加者は皆、本気で取り組んでいます。参加者コミュニティ内では「この発想は自分にはなかった」「これはいい視点ですね」などと活発にコミュニケーションが生まれていて。複数で参加できるからこそ、お互いに刺激をし合える点にも良さを感じています。

outsight参加者の今後のアクションに期待


--イノベーション風土の醸成、イノベーション人財の育成に向けて、非常に良い兆しが生まれているのですね。今後の展開、展望についても聞かせてください。

今後はoutsightの参加者が、他の社員を巻き込んで新しい取り組みをしたり、会社に対して提案を行ったりと、新たな動きが生まれることを期待しています。実はoutsight参加者の半数以上が、社内ビジネスコンテスト“HOPE”にも挑戦しています。

outsightで学んだことを実際のアクションに移さなければ、イノベーションは生まれません。今後、outsight参加者から数多くのアクションが生まれることを願っていますし、事務局としても様々な仕掛けを考えていきたいと思っています。

-貴重なお話、ありがとうございました。

Fin

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