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個の解放を変化につなげる-2021年の所信表明として-

2021年の所信表明として
あけましておめでとうございます。株式会社ローンディール代表の原田です。

2020年、ローンディールという会社もなんと6期目に入り、移籍者も100名を突破するという節目を迎えることができました。個人的にはなかなか隔世の感があります。これもひとえに私たちの事業に賛同いただいている大企業・ベンチャー企業の関係者のみなさま、移籍者のみんな、さらには家族や友人など多くの方々のご支援やご声援のおかげです。心より感謝を申し上げます。

そして2021年、私たちローンディールという会社は、より自覚的に社会に対して変化を及ぼせるように、事業に取り組んでまいりたいと思っています。どうか引き続き、ご指導を賜れれば幸いです。何卒、本年もよろしくお願いいたします。

そういうわけで今日は、私が「変化を及ぼせるように」ということに至った背景や考えを、年始の決意表明として書かせていただきます。

私たちの事業は社会に変化を及ぼせるのか
そもそも私は、社会もしくは世界を変える、そういう大それたことを、あまり口にしたくないなと思って生きてきました。もちろん、変化することは成長することだと思っているし、何かを変えていきたいとは思っています。でも、それが社会とどうつながっていくのか、ということについてはイマイチしっくり来ていなかったというのが正直なところでした。でも、最近、もしかしたら社会は変えられるんじゃないか、って思うようになりました。別に驕っているわけではなく(驕れるような状況ではありませんし・・・)、それでもそんな風に思えるようになった理由から、お話ししてみようと思います。

きっかけは昨年の秋くらい、弊社のコミュニティで移籍者のみんなの報告会を聞いていた時の話。移籍を終えた方から、大企業に戻って仕事のプロセスや考え方を変えようと動いているんだけどうまく周りを巻き込んでいけないという悩み相談があって、それに対して他の移籍者から「全員を変えるのは無理、だって何万人もいるから。でも、そのうち何割かが変わるだけでも結構な数ですよね」ってコメントがあったんです。それで、あぁなるほど、って思いました。

組織を変えるっていうことを考えると、なんとなく全員が変わらないといけない気がするし、全部を変えなきゃいけないという風に捉えがち。でも、パレートの法則とか言われるから2割くらいが変われば一気に流れができるのかもしれない。先日読んだ本によると、3.5%の人が本気で立ち上がると社会変革が起こせるという話もあるそうです(変化って、すごい漠然としちゃいますね。どんな変化が必要なのかっていうことも後述したいと思いますが、その前にしばし私の妄想にお付き合いくださいませ)。

レンタル移籍を終えた人たちは、元の大企業に戻って活動を始めます。周りには、彼らがベンチャー企業でどんな経験をしてきたのか興味を持ってくれた方々が集まり、報告会などが催され、広く経験が共有されます。そうやって移籍者が徐々に周囲に影響を与えていくことになるわけですが・・・移籍してくれる方の平均が30歳くらいなので、これから先(働く場所は変わるとしても)30年働くとして、毎年10人、トータルで300人の人と仕事でかかわるとします。そこで、そのうちの2割の人たちに影響を与えていったら、生涯で60人に変化を促すことができる。さらにその60人が、またそれぞれに周囲の60人を変化させられるとしたら、3600人。つまり一人のレンタル移籍者がきっかけとなって60+3600で、3,660人に影響を与えることができるわけです。100人移籍したから今366,000人。移籍者が1,000人になれば3,660,000人。日本の正規雇用者数は2019年時点で35,000,000人くらい、つまり、1割くらいの人たちに影響を及ぼせることになります(以上、長々と皮算用にお付き合いいただきすみません。まぁこれだと30年以上かかっちゃうわけで、そんな悠長なこと言ってられないですよね。だから、もちろんこれだけじゃ足りないとは思いますけれど、いったんこの考えについて言うと・・・)。

これって、できそうじゃないですか?移籍者のみんなが、自分がベンチャー企業で経験してきたことを伝え、年間に数人でいいから挑戦しようとしている人の背中を押してあげる。そうしたら世界は変えていけるのです。それに、別に私たちの取り組みなんて微力なもんで、もっと力強く組織や個人を変えていこうとしている方々もたくさんいらっしゃいます。こんな背景から、みんなで力を合わせていけば、それを大きなうねりにして社会を変えていくということは決して難しいことじゃないんだろうな、と思うようになったのです。

「個の解放」によって変化を起こす
では次に、どんな変化を起こせるとよいのか、という話。端的に言うと、「個の力を解放する」という事です。主に対象となるのは大きな組織で働く個人の、個を解放したい。

もちろん大きな組織の中でガンガンやっていける方もいらっしゃると思いますが、それはほんの一握りの方ではないかなって思うんです。多くの人にとって、大きな組織の中で働くということはどうしても分業化された一部分を担うにすぎなくなり、そりゃぁ効率は上がるのかもしれませんけれども、それぞれの能力の一部分しか使われない。つまり生産性を高めることの代償として、一個人の能力は制約されてしまっているという印象を持っています。

みんなが10の作業をやっていたものが徐々に分業化していって、それぞれが1ずつを担うようになったのであればまだ全体感は見えるのかもしれませんが、組織ができて時間が経ってしまうと、そもそも10を知っている人が不在になってしまう。そうやって誰も(もしくはごく一部の人しか)全体像が見えなくなってしまいますよね。仕事をする人が、部分しか見えていないことの弊害っていうのは相当に大きいと思っています。まず、組織の中で情報の交流が減っていき、そうなると上位レイヤーだけに情報が集まり格差ができていく。そうやって実は誰も望んでいないのにどんどん階層構造が進行していく。また、前後の関係くらいしか見えないので、本当の意味で価値のあるものを生み出せているのか、社会の中で果たすべき役割は何か、といったことと無関心になってしまう。そうやって制約されながら働くことに、違和感を覚えながらも打開策が見いだせない。そんな状況が、いろいろな組織の中で起こっているように感じます。

もちろん、全員が全部にかかわっていくなんていうことは現実的ではないですけれど、先に述べた「10の作業をやっていたものが、徐々に分業化していってそれぞれが1ずつを担うようになった」というくらいの意識まで戻せるだけで、全然違うんじゃないだろうか、と思うのです。そうやって一人ひとりの視野が広がっていくことで、自分の能力の出し方や出しどころが見つけやすくなる。そして自分の力を発揮できる個人が増えると、組織は良い方向に変わっていくと思うのです。

まず、組織と個人が対等になる。(言うまでもないことですが、これは個人の力が強くなって、組織の中でやりたい放題やっちゃう個人が増える・・・みたいな次元の低い話ではありません。)テクノロジーの進化を中心としてあらゆる業界において事業環境が劇的に変わっていく中で、過去の成功体験がそのまま通用するわけではなくなっています。過去の経験と、今の時代感に即した感性を融合させながら何かを選択していかなくてはならなくなっています。そうやって多様な情報が融合できる状態を作るために、組織のいろいろな立場にいる個人が対話をするという機会を作っていく必要があるはずです。

そうやって対話をすることで、真に価値があるものとは何か、果たすべき使命は何か、組織の目的は何かといったことがしっかりと議論されるようになる。規模の経済に頼って多くの無駄を吐き出しながら拡大していったり、競争優位のために不必要な機能拡充を繰り返すようなことが、本当に必要なことなのか。そんなことはわかっていても、止められないのはなぜなのか。それぞれの立場から多くの問いが立てられ、一方で相手側の事情を知り、多くの人が課題に対する理解を深める。そして自分の持てる力をその課題解決に向けて最大限に発揮することができれば、今日よりも良い社会に向けて時間が流れていくはずです。

そもそも、社会をよくするために、課題を解決していくために人の英知が結集しているのが、企業という場所であったはずです。個の力を解放していくことはつまり、仕事や組織に対する意識を変えていくこと、ひいては組織自体の在り方を変えていくことになると思うのです。

ベンチャー企業での経験が個を解放する
ではそもそも、どうやってその個の力を解放しようとしているのかということについて。私たちはその一つの手法としてベンチャー企業で働く経験(つまり私たちが取り組んでいる「レンタル移籍」)というのはかなり有効であろうと感じています。これについて一つひとつ詳しく話し出すときりがなくなってしまうので、さわりだけにさせていただきますが、いくつかのポイントを挙げてみたいと思います。

まず、ご紹介したいのはベンチャー企業の特性として、つまり経営者も含めてまだ誰も正解を持っていない、ということ。事業を立ち上げ、試行錯誤を繰り返していく過程の中で、少しでも確からしいことを探し求めて、様々な手を打ち、壁にぶつかり、葛藤をする。きっと大きな組織においても、かつて先人たちがそういう思考錯誤を繰り返してきたことは想像に難くありません。それを自ら体験するという経験は、成熟した組織の奥底に込められたDNAに気づく感度が高まることにつながります。

次に、目的のもとに働く、ということを紹介します。正解がない中でも行動をし続けるには、明確な目的が必要です。昨今、パーパス経営なんていうことが言われますが、ベンチャー企業からみるとすごく当たり前なことに聞こえます。強い目的意識を持たなければ、正解を求めてさまようことなんてできませんし、まだ確立していない価値の中で顧客と関係性を築くことなんてできるわけがありません。そういうことを、自分自身が身を持って経験するということは、大きな組織に戻ったときに「目的」とは何かを問う、強烈なモチベーションとなって現れるはずです。

あともう一つだけ、過去との接続、という点を挙げておきます。今までの経験は決して無駄ではないということです。大企業で育った人はベンチャー企業で通用しない、っていうようなことをおっしゃる方もたまにいらっしゃいますが、そんなことは絶対にありません。(もちろん、がんばって仕事をしてきた人なら、という前提です)。大企業で身に着けた力は絶対にベンチャー企業で必要とされます。もしかしたら大きな組織で働いている本人も、自分は外に出たら通用しないんじゃないか、無駄なことをやらされているんじゃないかと不安に感じている人もいるかもしれませんが、私たちは過去に100人以上のレンタル移籍者を見てきて、そんなことは絶対にないと断言できます。自分が取り組んできた過去をしっかりと肯定できる。それもベンチャー企業で働くことで実感できるとても大きな要素です。

今日はこのくらいにしておきたいと思いますが、つまるところベンチャー企業で働くという機会の中には、仕事というもののある種、原理的なものに気づける機会がたくさんあるということです。それを、個人が会社を辞めることなく経験できる機会として、大企業のような成熟した組織がベンチャー企業的な要素を取り込んでいく手法として、私たちのレンタル移籍という事業はひとつのきっかけを届けられると考えています。

改めて、2021年の挑戦に向けて
以上に述べてきたことを整理すると、「個の力を解放する」ということを通じて、組織と個人を対等にしていくことが大切だと考えていて、そのためにはベンチャー企業で働いてみるという経験はとても有効だと感じているということ。そして、解放された個人が少しずつ(例えば年間に数人ずつでも)影響を与えて、周囲の人を解放していけたら、その連鎖で社会はきっとよくなっていくと信じています。

そんな連鎖を想像しながら、私たちは2021年も、一人ひとりの挑戦に寄り添いともに歩みながら、私たちも挑戦をしてまいりたいと思っています。
どうか本年もよろしくお願いいたします。


【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計43社118名のレンタル移籍が行なわれている(※2020年12月1日実績)。→詳しくはこちら



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大企業で働く社員が「レンタル移籍」を通じてベンチャー企業で学び、奮闘し、そして挑戦した日々の出来事をストーリーでお届けします。http://loandeal.jp