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「ビジョンを語って人を巻き込み、もっと熱量高い組織に」 オリエンタルランド 井上雄太さん -前編-

「周囲から『自分は何をしたいのか』『あなたは何がしたいのか』という話をよくするようになったと言われる」と話すのは、株式会社オリエンタルランド(以下、OLC)の井上雄太(いのうえ・ゆうた)さん(33歳 ※取材時)。井上さんは、2019年6月から11月まで、農業ベンチャーの株式会社マイファームにレンタル移籍をしました。自分でも「ビジョンを語るようになった」自覚があるという井上さん。どんな経験が彼に変化をもたらしたのでしょうか。

1.プロローグ

社会人9年目。レストランのスーパーバイザーとして、店舗運営の「ヒト・モノ・カネ」の管理や収益管理を行い、リーダーとして後輩の育成にも数多く携わっていた。しかし、新入社員が入ってくる度に感じるのは、自分への焦り。

「パソコンスキルなども入社時から高く、高スペックな後輩達。彼らを育成してもっと活躍させてあげたい。自分も古いままではだめだ……」

会社の経費でビジネススクールにも通わせてもらった。しかし、どんなに学びは多くても、なかなかアウトプットには結びつかない。

「他の社員やメンバーに成長機会やチャレンジを提供したい。できていないのは、自分に力がないからなのか……」

井上さんのOLCとの出会いは、高校卒業後の18歳の時。中高一貫の進学校に通い、大学進学に向けて受験勉強中の最中、どんな仕事がしたいかなども考えないまま、家族の決めたレールを歩んできたことに疑問を感じた井上さん。センター試験の前日に「大学に進学をしない」ことを決断。社会人経験をちゃんと積めそうなアルバイトをしようと、キャストとして働き始めたことがきっかけだった。

当時、社会人としても未熟だった自分を、可愛がってくれた先輩たち。たくさんの成長機会を与えてくれた上司達。自分もそのような存在になりたいと社員になったのが23歳の時だった。

それから10年近く経った今も、その気持ちを忘れてはいない。熱量高く働き、熱量があまり高くない人も巻き込めるような人になって、この組織をもっとよくしたい。

自分にできるのだろうか。

社会人になってからずっと同じ組織で働いている。働くレストランは変われど、ずっとスーパーバイザー業務。社外に出て自分の力を試してみたい。社会人としての価値を知りたい。

そう思った井上さんは、レンタル移籍への挑戦の一歩を踏み出した。

2.農業体験がヒトの成長機会に?

移籍先として選んだのは、「自産自消」=「自分でつくって自分で食べる」ことのできる社会をミッションに掲げる農業ベンチャーの株式会社マイファーム。「ヒトが作物を育てるように、作物もヒトに育てられている」というキーワードにピンと来た。

「農業に触れる体験は、人の成長にも寄与できるのか!」

思いつきもしなかった視点からの育成の可能性と、面談時の社員達の誠実さに惹かれた。正直なところ、農業には興味も知識も全くなかった。それでも、食べ物の大切さを感じられる人が増え、「自産自消」できる人が増えれば、いい社会になるというマイファームのビジョンには大いに共感した。農作物を育てる楽しさを体感する体験を通じた成長機会の提供は、人に成長機会を提供したいという自分のビジョンにも結びついた。だから思い切ってマイファームに飛び込むことを決めた。

2019年6月から半年間の移籍期間で井上さんに与えられた大きなミッションは、体験農園事業の新サービス「ハタムスビ」の開発。未活用の畑や、空き地、建物の屋上を有効活用したい人と、気軽に野菜作りを楽しみたい人を繋げるマッチングサービスで、多々あるマイファームの事業の中でも、ライトユーザー向けの事業である。2019年9月初旬リリースが目標だ。

それと並行し、マイファームが展開している体験農園での農作業や農園管理業務・イベント業務なども行う。上司である田村さんに同行し、1日に複数の体験農園に車で移動しては、農作業や管理業務、事務所に戻れば事務作業の日々。体力的にはきつかった。日に日に肌も真っ黒に焼けていた。それでも良いメンバーに恵まれ、これまでとは異なる環境での挑戦という自身から湧き上がるエネルギーにも助けられ、楽しく働いていた。

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マイファームの体験農園で、参加者に収穫方法について説明する井上さん(写真中央)

3.「自分にできることだけやっていてはだめだ」と気づく

「マイファームの人はみんな農業への思いがすごい人ばかり。正直、自分だけ農業の知識が全くないのは少し気が重かったです。でも、たかが半年では追いつけっこないから、最低限の知識を身に着ける努力はするけれど、そこまで農業に深くつっこまなくてもいいかな、自分にできることだけ頑張ればいいかな、なんて考えていました」

しかし、そんな考えを改めなければ、と思う出来事が起こる。

「社長の西辻さんも参加するミーティングで、西辻さんから『ミーティングには、知るレベルの参加では困る、お互いの業務に指摘し合えるような参加じゃないと意味がない』と話があって。普段、とても穏やかなはずの西辻さんが、その時だけは表情も言葉もピシッとしていて、このままではだめだとスイッチが入りました。」

子会社や関連会社まで、アルバイトまで含めると100名以上の組織であるマイファームには、井上さんが携わる農体験プロデュース事業以外にも、より農への理解を深めるための学びの場作りや、生産者・農業従事者のサポートなど、数多くの事業がある。井上さんは別事業の業務のことは知ろうともしていなかったことに気づいた。

「もっとマイファームのことを知らなければ。農業に踏み込んでいかなければ。そうでなければ、マイファームにはいられない……!」

そう思った井上さんは、他の事業の業務にも関心を向けるようになり、ミーティングでも「一番質問してやる!」という気持ちでどんどん手を挙げるようになった。そして、上司の田村さんに同行していた案件も、徐々に1人で動くようになり、マイファームの仕事が「自分ごと化」されていった。

移籍開始から夢中で走り続けて3ヶ月。この頃に目標とされていた「ハタムスビ」のサービスリリースに向けての準備も大詰めを迎えた。

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マイファームが運営する、座間駅前のリノベーション賃貸住宅「ホシノタニ団地」内の会員制貸し農園。「ハタムスビ」のサービスを通して利用ができるように進めていた

4.プロジェクト目標達成!しかし……

2019年8月下旬。いよいよ「ハタムスビ」サービスのリリースまであと数日という時に、サイトのユーザーテストデータがあがってきた。そこで初めてサイトの使い方ガイドを作り上げなければならないというタイトなスケジュール。体力的にも精神的にも厳しかったが、なんとか目標の9/1リリースにこぎつけた。

ようやく目標達成!

2019年6月から11月までという期間限定のレンタル移籍の折り返し地点。もちろんリリース自体が目的ではなく、サービスを軌道に載せるための集客や運用業務も続いていくのだが、業務量はぐっと減った。その時に上司の田村さんから、

「自由に動いていいから」

という言葉をかけられ、ハッとした。

「それまでは、マイファームが決めた企画案に沿ってリリースするために、逆算して業務をやっていくという仕事でした。つまり1を10にする作業をしていたわけで、ゼロイチの業務は何もしていなかったと気づいたんです」

その時に頭をよぎったのは、レンタル移籍開始直後の田村さんとの会話だった。

「レンタル移籍が始まって1週間くらいで、田村さんと京都出張に行った時のことです。請け負っている不動産会社の案件で、屋上菜園のある学生マンションの畑に子どもたちが来て、芋掘り体験やインゲン収穫体験しているところを見て、『子どもたちに成長機会を与えるって、すごくいい!』とグッと来たんです。帰りの新幹線で、ハタムスビもいいけど、子どもに成長機会を与える仕事がしたいって話をしました。その時は、『まだレンタル移籍が始まって1週間だし、ハタムスビの案件もあるから今は難しいんじゃない?』と言われ、その時はたしかにと思っていたのですが」

レンタル移籍開始直後に感じていた、熱い気持ちを思い出した。

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子ども向けの農体験プログラム中の井上さん

5.自分が本当にやりたかったこと

思い返せば、マイファームで仕事をする中で、自分が最も気持ちを揺さぶられていたのは、子ども向けのイベントなどをやっている時だった。特に人格形成に大きな影響を与える0〜5歳の時期に、農のコンテンツを使って面白いことをしたい。

改めて相談すると上司の田村さんも応援してくれた。そして社長の西辻さんも「ぜひやってみなさい」と背中を教えてくれたという。

「マイファームって、ベンチャーの中でも特に尖っていないんです。なぜかというと、『みんなの『やりたい』を実現する会社』だから。西辻さんは『農業の世界の課題解決になっているならば、企画提案を。承認されれば実行するだけ』というスタンスなんです。だから、僕がやりたいって言ったら、マイファームと繋がりがあるから、ここに相談してみては?などのアドバイスと共に、背中も押してくれたんです。子どもたちに対して成長機会を提供することは、マイファームが本当にやりたいことだから、是非やってくださいと」

そうして井上さんは、残り3ヶ月間のレンタル移籍期間で、新規事業の立ち上げに挑むことになった。

→後編につづく


【マイファームさんより、人材募集のお知らせ】

株式会社マイファームでは、「自産自消が当たり前の社会を目指して」を理念に、新しい強い農業人を育み、野菜作りって楽しい、農業って楽しいって興味を持っていただける方を世の中により多くするために様々な活動を行っています。
自らも農業人の一人となり、井上さんのように熱量を持って本気で仕事に取り組んでみようと思った方は、期間限定でも短期間でもビジョン次第では幅広く活躍いただけます。
ご興味があられる方は、一度マイファームのホームページをご覧になってみてください。→採用情報はこちら

【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2016年のサービス開始以降、計34社83名のレンタル移籍が行なわれている(※2020年3月実績)。→詳しくはこちら

協力:株式会社オリエンタルランド / 株式会社マイファーム
writer:黒木瑛子
提供:株式会社ローンディール 
https://loandeal.jp/
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「&ローンディール」は、企業間レンタル移籍プラットフォームを提供する株式会社ローンディールの公式WEBマガジンです。大企業で働く社員が「レンタル移籍」を通じてベンチャー企業で学び、奮闘し、そして挑戦した日々の出来事をストーリーでお届けします。http://loandeal.jp

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