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【最終章 関西電力ではじまる、新たな挑戦】30歳の新人 〜入社9年目で見つけた、 本当のチャレンジスピリットとは?〜


<過去記事>
第1章 「2万人の期待を背負って、関西電力からベンチャーへ」
第2章「ベンチャーで働くということ」
第3章「「マインド」が変わる時」


—チカクを後にする日

7月初旬、チカクをあとにする日がやってきた。
すっかり社員気分だった田村は、ただただ寂しさを感じていた。

誰に対しても自分から入り込んでいく人懐っこさもあって、田村は、チカク内ではすっかりムードメーカーになっていた。

「毎週水曜日はボーダーの日」
これは、田村がチカクで働く女性スタッフたちと始めた、ちょっとしたお遊び企画。

たまたまある水曜日、田村と女性スタッフのひとりがボーダー被りしたことをきっかけに、勝手に「毎週水曜日はボーダーの日にしよう!」と決めて、皆でボーダーを着てくるというようなこともやっていた。
(ちなみにこの企画は田村が移籍を終えた今でも続いているという)

そういう田村の遊び心がチカクではいい刺激になっていたようで、田村の移籍終了は皆から惜しまれた。

そして送迎会は盛大に行われた。
送迎会では、チカク社員手作りのメッセージ動画をプレゼントされ、そのメッセージの中には、田村がお世話になった取引先の方からの激励メッセージもあった。嬉しさと寂しさで、田村は泣くしかなかった。

8ヶ月間の東京生活もこれで終了。
それはもう一方で、新たなはじまりでもあった。

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移籍最後の日、チカクの社員との記念撮影。前列左から1人目が梶原社長、2人目が田村。

—「ここからが本番……」焦りと期待


移籍を終えて大阪に帰る新幹線の中、田村は、今までの8ヶ月間を振り返る。

ITツールを何ひとつ使いこなせなくて不安だらけの初日から、なんとかキャッチアップできるようになり、ひとりで成し遂げた展示イベント。
チカクの方々の想いに感化されて、気付いたら習慣化していた「顧客ファースト」の精神。いろんな出来事を経験した目まぐるしい日々を思い出しつ、自分の成長も確かに実感していた。

今まで関西電力で経験した営業、経理、無駄だったことは一切なく、しっかりチカクで還元できた。イノベーション推進グループという新たな挑戦の場で、過去の経験がスキル化できず悩んでいた田村は、今回の経験で、自身のスキルを活かしながら事業開発に貢献することができた。
それが何よりも自信となった。

———しかし、田村にとってはこれからが「本番」である。

関西電力に戻った後、これらの経験をどう活かし、何を生み出すことができるのか。移籍前とは違った不安が押し寄せる。それと同時に、湧き上がる想いもある。

それは、少しずつ、関西電力で自分がやるべきことのイメージができつつあったからだ。

—「田村、変わったな」周囲からの反応

関西電力に戻ってきて一週間が経った。

長く勤めた企業とはいえ、数ヶ月間離れていたこともあり、すぐに勘を取り戻せるか心配だったが、違和感なく業務に戻れた。それどころか前よりも仕事が進めやすくなっていることを実感する。

それは環境が変わったのではなく、自身の意識が変わったからだと思った。小さな業務ひとつにしても、その目的をしっかり考えるようになっていた。

「なぜこの資料を作るのか」「そもそも作る必要があるのか」
自身で考え、効率的に作業ができるようになった。

今までだったら新たな業務を振られた時に、「面倒臭い」「なんで自分が……」という気持ちが先行し、仕方なくこなしていたこともあったが、今は違う。

その業務をやる目的、自分がやる理由までちゃんと深ぼるようにして、積極的に取り組めるようになった。そんな田村の動きを見て、周囲の社員からも「お前、変わったな」と言われるようになる。

それが如実に出たのは、「黒部渓谷鉄道のプロジェクト」だった。

—「俺も燃えてきた」
黒部渓谷鉄道プロジェクトでメンバーの一言にハッとする

田村は移籍前の2017年春くらいから、子会社の「黒部渓谷鉄道株式会社」のプロジェクトに携わっていた。
と言っても所属する経営企画室の業務ではなく、「K-hack(ケイハック)」という、部門をまたいで社員が10人ほど集まり、社内で新しい取り組みを行う若手有志活動の一環である。

そもそも「K-hack」で、黒部渓谷鉄道のプロジェクトをやろうと言い出したのは田村だった。経理部門にいた頃、黒部渓谷鉄道株式会社が連続で赤字決算になっていたのを目の当たりにして、何かできないかと思ったのがきっかけだった。

黒部渓谷鉄道と言えば、関西電力のチャレンジスピリットの原点とも言える「黒部ダム」とは切っても切れない関係にある。

「K-hack」で皆から黒部渓谷鉄道を盛りあげるアイデアを募って、企画にまで落とし込んだ。しかし、その企画を黒部渓谷鉄道に持ち込んだくらいのタイミングで移籍となった。

一緒に進めていた信頼できるメンバーがいたので、一旦離れることに躊躇はなかったが、田村は移籍中も、ずっとこのプロジェクトが気になっていた。

そして、移籍から戻ってきた2018年7月。
黒部渓谷鉄道を舞台に、謎解きイベントの実施が決まり、メンバーはそれに向けて準備をしていた。それが2018年9月に実施された「黒部渓谷ミステリーリアル謎解きゲーム」である。

無事実施に至れたことに安堵する反面、田村はあることに気づいた。
それは、イベントを終えるところまでがプロジェクトのゴール設定になっていたということだ。

田村はメンバーを集めて提案した。
実施して終わりではなく「そもそも何のためにやっているのか」その目的を改めて共有し、「OKR」による目標管理を提案した。

「実施してどうなったか?」
「ユーザーの反応はどうか?」
「1回では本来の課題は解決できない。次にどうやってつなげるか?」

結果まで追えるような取り組みをメンバーに話してみた。
そんな田村の変化を目の当たりにして、同期メンバーのひとりが、
「田村が急にそんなこと言うから、俺も燃えてきたよ(笑)」
照れながら、こそっと言った。

その一言によって、田村の心の中で何かが大きく動いた。
そして、これから自身がやっていくべきことのヒントが見つかった気がした。

—社内にはチャンスが秘めている!

「自分主体でプロジェクトをやりたい。事業開発したい」
その気持ちは移籍前も移籍後も変わっていない。
しかし大きく変わったのは、やりたいプロジェクトが明確になってきたことである。

それは、関西電力で働く社員がイノベーションを起こせる仕組みづくりである。

「スキルを持っている人が、それに気づいてビジョンを抱くことができれば、それが大きな原動力となり、ものすごい力になる!」田村はそう思った。そして、「そんなチャレンジスピリットを社内で増やしていきたい」そう考えるようになっていた。

そしてある考えに辿り着いた。
「イノベーション推進グループ」が会社からなくなることが、ある意味ゴールだと。

社員全員がイノベーティブな考えになれば、それぞれの部門で新規事業を起こせるようになり、それを推進していく部門はいらなくなる、そう考えた。

どこかの部門に言われて始めるのではなく、自発的にそれが起こる環境を作ることが目指すひとつの理想。そのための環境づくりや制度を作りたいと思っている。

また、熱い想いを持つ人々と関わりを持ったことで、その想いを形にするひとつの方法として、ベンチャーキャピタルを巻き込んだ取り組みも実施したいと考える。

もちろんチカクとの取り組みも積極的に行いたい、親和性は沢山ある。
黒部渓谷鉄道のプロジェクトも、来年はもっと大きなものにしたい。

田村の夢は膨らむ。

—そしてこれからのこと、生き方のこと

田村はチカクへの移籍によって、仕事の枠を超え、人生において大切なことも学んでいた。それは「自分のビジョンをしっかり持ち、そのビジョンに基づいて行動を起こすことが大切」ということ。
それがすべての原点であり、より良い結果につながるということ。

———2018年8月末。

田村に、あるメディアから取材依頼があり、インタビューを受けていた。

「田村さんの人生のビジョンは何ですか?」
「正直、まだわかっていません。でもこれから見つかる気がしています。なぜなら……」

田村は8ヶ月間のことを思い出しながら話す。
田村のマインドの変化が周囲に大きな影響を与え、想い描く夢が形になるのはまだ少し先かもしれない。

それでも確かに動き始めている。
田村の夢はまだ始まったばかりだが、想像は創造の始まり、確実に大きくなっていくだろう。

田村はインタビューを受けながら、少し先の未来を想像していた。

End


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取材協力:関西電力株式会社、株式会社チカク
storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール 
http://loandeal.jp/



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