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【第3章 「マインド」が変わる時】30歳の新人 〜入社9年目で見つけた、 本当のチャレンジスピリットとは?〜

<過去記事>
第1章 「2万人の期待を背負って、関西電力からベンチャーへ」
第2章「ベンチャーで働くということ」

—いつの間にか指導できるレベルになっていた

「起業家万博」を経て、移籍6ヶ月目に入った4月、田村に朗報が入った。

とある大手百貨店5店舗で、新たに「まごチャンネル」の取り扱いが決まり、店舗販売が開始されることになったのだ。

この案件は、モニター調査や「起業家万博」の準備を行いながらも、商談から導入まで、田村が初めてひとりで担当したものだった。

これは田村にとって大きな自信となった。チカクの仲間となって約半年、今までも小さな結果は出せたと思う。それでもサポートをしてもらうことの方が多く、負担をかけてしまっているという気持ちも大きかったからだ。
だから今回の完遂は、自信を得た以上に、「ようやく還元できた……」という安堵に近い感覚もあった。

そして、今までの田村であれば「成し遂げた」という満足感で終わっていただろう。しかし今は違う。

チカクでの経験により、PDCAの要である、A(アクション)の積み重ねが結果につながることを確信し、トライアル アンド エラーを繰り返す大切さも理解していた。

「ここからだ……」

田村は、以前行った展示ブースでの経験(お客様が足を止めてくれなかった展示ブースで、創意工夫をすることにより集客に成功したこと)を活かして、販売店舗に出向いては販売のフォローなどを積極的に行う。

そして、あの頃は自分でサービスを説明するのがやっとだったが、今では販売担当者に指導できるようになっていることに気づく。嘘のようにすらすらと「まごチャンネル」に関する言葉が出てくることに感動すら覚えた。

—「自分の言葉」で話している感じがする!

レンタル移籍中は、月1回程度「レンタル移籍」を提供している株式会社ローンディールのメンターと面談を行うことになっている。

面談では進捗共有や今後の目標などを話し合う。
田村は4月の面談でメンターから言われた一言が頭から離れない。
それは「田村さん、自分の言葉で話している感じがして、自信が伝わってきますね」という言葉。

実は、田村自身もそう感じていた。今まではどこか客観的に物事を捉え、言葉にしていたことが、自分の内側から話せている感じがした。

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「まごチャンネル」を用いて、シニア向けにお店情報を発信するトライアル動画企画。田村自身がレポーターとなって動画に出演したことも!


そんなある日、梶原社長から「あと2ヶ月、移籍期間を延期して欲しい」という打診がある。
純粋に嬉しかった。「必要とされている!」という安心感もあった。

すっかりチカクの社員という気持ちになっていた田村は、まだこの場所で頑張れることが何よりも嬉しい。それにちょうど、「まごチャンネル」の次世代モデルの検証が始まっていた時期でもあったので、それを見届けたいという気持ちもある。

同時に、「2ヶ月の猶予ができたとはいえ、関西電力に戻った後のことも考えないと……」そんな想いもあった。

—「自分が一番になれる領域はなんだろう……」
再びやってきた大きな壁

ある日チカク内で、社員全員参加による、とある発表会が行われた。
テーマは「自分が世界一になり得ることを考え、発表する」というもの。田村はオブザーバーとして見ていた。

「世界で一番というのは、1分野1領域であれば難しいが、分野を3つか4つ掛け合わせることで世界一になれるものを見つけられる」という梶原社長の考えのもと行われた。

田村は、梶原社長が「現実感を構成する内観の深さ」「テキストによる情報発信力」「ハードウェアも含めた事業構築能力」を掛け合わせて、「“リアルに会う”を超える体験を事業として世界展開する」という想いを持って、仕事をしていることを改めて知る。

また、梶原社長だけでなく、チカクで働く全員が、本気で世界を見据えて仕事に打ち込んでいることにも気づき、感銘を受ける。

スキルを身につけることばかり意識していた田村は、「何を成し遂げたいかというマインドを持つことのほうが大切だ……」、そう思った。

「目に見える成果の背景には想いやビジョンがあり、それらを大切にすることがより良い結果を生む」チカクで働く彼らを見てそう感じた。

以前、梶原社長から「なぜ今これをやるのか?」という、“常に自分の行動に意味を持たせよ!” という教えを得たが、ようやく本当の意味がわかった気がした。

そして考えた。
「自分はどんなマインドを持って、何の世界一を目指したいのか?」

田村はその答えが分からなかった。今までの人生で、ここまで深く考えたことすらなかった。再び、チカクの社員と自分の間に大きな壁を感じることとなる。

しかし、決してネガティブな壁ではなかった。
すぐに答えが見つかるものではなく、マインドを意識して仕事をしていくことで大切なことが見えてくるだろう、そんな期待さえ持っていたからだ。

—「迷ったら顧客に聞く」がいつのまにか当たり前になっていた

移籍が残り1ヶ月となった6月は、ある企業で無料トライアルを導入している「まごチャンネル」を、本導入してもらうための施策に携わっていた。

「まごチャンネル」は月額利用のサービス。一度導入して終わりではなく、いかに継続して利用してもらうかが重要となるため、継続的に使ってもらう施策が大切だ。

そのため、「まごチャンネル」が日常にあることの必要性や、魅力的な利用シーンをイメージしてもらうような施策に力を入れた。

そして、それら施策を検証する上で大切にしたのは「迷ったら顧客」に聞くという原点。自分たちのシーズで仮説を立てるのと、エンドユーザーから話を聞くのでは、仮説の精度がまったく違うことを実感していた田村は、エンドユーザーであるシニアに直接電話をしてヒアリングをすることもあった。

自身の声の低さが原因で、不審に思われて話を聞いてもらえなかったこともあった。滑舌が悪くて伝わらず、うまくヒアリングできないこともあった。動揺して、自分の名前を名乗らずに話し始めて、電話を切られたこともあった。

それでもめげずに彼らが求めていることを吸い上げた。
それは、原点に戻ってユーザーにヒアリングすることが、いかに大切かということを、田村自身が身をもって学んでいたからである。
だから頑張れた。

この施策は移籍終了となる7月以降も続いていたため、田村は途中で抜けることになってしまったのだが、満足感があった。

そんな慌ただしい日々を送り、気づけば移籍最終日の前日———。
田村はすでに、関西電力に戻ったあとのことを想像しはじめていた。


↓ 最終章「関西電力ではじまる、新たな挑戦」に続く

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取材協力:関西電力株式会社、株式会社チカク
storyteller:小林こず恵
提供:株式会社ローンディール 
http://loandeal.jp/


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